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泉南市でクリニックを開業する

泉南市のクリニック開業傾向

病院と一般診療所が地域医療を支えるエリア

泉南市は大阪府南部に位置し、大阪湾に面した海岸部から和泉山脈に近い山間部まで自然環境が広がる一方、JR阪和線や南海本線、阪和自動車道などを利用でき、関西国際空港にもアクセスしやすいエリアです。

2026年8月時点で大阪府が公表している最新の市町村別詳細データである「令和5年医療施設調査」によると、泉南市には40施設の一般診療所と7施設の病院があります。一般診療所は人口10万人あたり69.1施設となっています。

市内では一般診療所による身近な外来医療に加え、病院が入院・専門医療などを担っています。クリニックを開業する場合は周辺の診療所だけでなく、病院が提供する診療機能や患者の受療行動も含めて確認し、競合と連携の双方から地域の医療環境を把握することが重要です。

参照元:大阪府「令和5年医療施設調査」

「健康せんなん21(第3次計画)」を推進

泉南市では、2025年度から2036年度までを計画期間とする「健康せんなん21(第3次計画)」を策定しています。健康増進計画・食育推進計画・自殺対策計画を一体的に進め、「誰もがいきいきと健康に暮らせるまち」を目指して、市民の健康づくりを支援しています。

健康増進分野では、栄養・食生活、身体活動・運動、飲酒・喫煙、歯と口腔の健康、休養・睡眠・こころの健康といった生活習慣の改善に加えて、がんや循環器病、糖尿病、COPDなどの生活習慣病の発症予防・重症化予防を基本施策として掲げています。

クリニックの開業では、こうした市の健康課題も参考にしながら、候補地周辺の年齢構成や疾病構造、既存医療機関の診療内容を確認し、地域で求められる医療を検討するとよいでしょう。

参照元:泉南市「健康せんなん21(第3次計画)」

診療科の施設数だけで開業余地を判断しない

従来のページでは、皮膚科・耳鼻咽喉科・小児科・在宅医療などについて「ニーズが高い」「新規開業医が活躍しやすい」としていましたが、診療所数だけから特定の診療科が不足していると判断することはできません。

泉南市が属する泉州二次医療圏は、現行の第8次大阪府医療計画では「外来医師多数区域」には位置付けられていません。一方で、2026年4月に厚生労働省が公表した新しい外来医師偏在指標では泉州二次医療圏は117.9となっており、医療提供体制は今後も更新されていく可能性があります。

また、2026年3月に国が公表した「外来医師過多区域」の候補区域には泉州二次医療圏は含まれていません。ただし、これらの区分だけで開業のしやすさを判断するのではなく、開業候補地周辺の人口、診療科、既存クリニック、病院、患者の移動範囲まで分析することが重要です。

参照元:大阪府「大阪府外来医療計画」、厚生労働省「外来医師偏在指標」

泉南市の主な診療科ごとのクリニック数(2026年時点の最新公表データ)

2026年8月時点で大阪府が公表している最新の市町村別詳細データは、令和5年10月1日現在の「令和5年医療施設調査」です。泉南市の一般診療所について、主な診療科目の施設数は以下の通りです。

なお、上記は一般診療所が標榜する「診療科目延数」です。1つのクリニックが複数の診療科を標榜している場合、それぞれの診療科に計上されるため、診療科別の施設数を合計しても一般診療所40施設とは一致しません。

内科が29施設と最も多く、整形外科、小児科、リハビリテーション科などが続きます。一方、産婦人科や脳神経外科など施設数が少ない診療科もありますが、施設数が少ないことだけを理由に「不足している」「開業に向いている」と判断することはできません

泉南市には病院も7施設あり、診療科によっては病院が専門外来や入院医療を広く担っている場合があります。開業予定地の診療圏調査では、一般診療所だけでなく病院の診療機能や対象患者の年齢構成なども確認しましょう。

参照元:大阪府「令和5年医療施設調査 第9表 一般診療所診療科目延数」

泉南市でクリニックを開業するための準備

開業に必要な許認可と要件

泉南市で診療所を開設する場合の窓口は、大阪府泉佐野保健所です。泉佐野保健所では泉南市を含む管内の医療施設について、開設許可や届出などの手続きを受け付けています。

大阪府では、診療所を新規開設する人に向けて、医師・歯科医師が個人で開設する場合と、医療法人などが開設する場合に分けた「診療所開設の手引き」を公開しています。開設や構造変更を予定している場合は、必要に応じて所管保健所へ事前相談しましょう。

診療所開設届・診療所開設許可申請

参照元:大阪府「診療所にかかる様式」、大阪府泉佐野保健所

従来のページでは「開設届が受理されるまでは診療行為ができないため、開業前に届出を行う」としていましたが、医師個人が開設する場合の診療所開設届は開設後10日以内に行う届出です。一方、医療法人など非医師による開設では、事前に開設許可を受ける必要があります。

また、診療所の構造設備などについて確認が必要になる場合もあります。物件契約や内装工事を進める前から泉佐野保健所へ相談し、必要な手続きや開業までのスケジュールを整理しておくとよいでしょう。

大阪府では、2024年4月から診療所などに関する一部の申請・届出についてオンライン手続きにも対応しています。利用できる手続きについては申請時点の案内を確認してください。

保険医療機関の指定申請

健康保険を利用した保険診療を行うには、診療所の開設手続きとは別に、近畿厚生局へ「保険医療機関指定申請」を行い、保険医療機関として指定を受ける必要があります。

指定申請には締切日が設定されています。希望する開業日から保険診療を開始できるよう、開業日から逆算して余裕を持って準備しましょう。

地域医療への協力に関する意向書

大阪府では、新たに一般診療所を開設する人に対して「地域医療への協力に関する意向書」の提出を依頼しています。泉州二次医療圏についても提出の対象となっています。

意向書の提出は医療法上の義務ではありませんが、在宅医療、休日・夜間診療、学校医、予防接種など、地域で必要となる医療への協力意向を把握するために活用されています。

その他の申請・報告

診療内容や設備によっては、開設手続き以外にも申請や届出が必要です。病床の設置や構造設備の変更、診療用エックス線装置などの設置を予定している場合には、それぞれ必要な手続きを確認しましょう。

また、現在は医療法に基づく手続きとは別に、医療機関等情報支援システム(G-MIS)を通じた医療機能情報の報告も必要です。開業時に必要となる手続きを一覧化しておくと、届出漏れを防ぎやすくなります。

クリニックの開業までの流れ

クリニック開業までの大まかな流れをご紹介します。

  1. クリニックの方向性・事業計画を策定する
    診療方針や対象患者、提供する医療、経営理念などを明確にします。想定患者数や診療単価、固定費などを踏まえた収支計画も作成しましょう。
  2. 診療圏調査・物件の選定
    人口、年齢構成、競合医療機関、病院の診療機能、交通アクセスなどを調査し、開業候補地を比較します。泉南市ではJR阪和線沿線、南海本線沿線、国道26号や府道沿線などによって患者の生活動線や来院手段も異なるため、細かなエリア単位で確認することが重要です。
  3. 資金を調達する
    物件取得費、内装工事費、医療機器費、人件費、広告費、開業後の運転資金などを算出し、金融機関へ融資を相談します。
  4. 医療機器・内装レイアウトを決定する
    診療内容に応じて必要な医療機器を選定し、患者とスタッフ双方が移動しやすい院内動線を設計します。自動車による来院を想定する場合は、駐車場の台数や出入りのしやすさも確認しましょう。
  5. 税理士・社会保険労務士などを選定する
    税務や労務を外部へ依頼する場合は、医療機関や医療法人の支援実績がある専門家かどうかも確認して選定します。
  6. 各種申請・届出を行う
    泉佐野保健所への診療所開設手続きや、近畿厚生局への保険医療機関指定申請などを進めます。必要な手続きと締切を整理し、開業日から逆算して対応しましょう。
  7. スタッフ採用・研修・集患準備を行う
    看護師や医療事務など必要なスタッフを採用し、電子カルテや予約システム、患者対応などの研修を行います。ホームページや地域への周知など、開業前の集患準備も進めます。
  8. 開業
    設備、人員、行政手続きなどの準備が整ったら診療を開始します。開業後も患者数や患者層、収支などを確認しながら運営方法を改善していきましょう。

泉南市の人口・推移予測

泉南市の住民基本台帳人口は、2026年7月末現在で56,873人、世帯数は26,803世帯です。2020年国勢調査の人口60,102人と比較しても人口減少が続いています。

泉南市の「第9期地域包括ケア計画」で示された市独自の人口推計では、2026年56,693人、2030年53,366人、2035年48,973人、2040年44,529人と、今後も人口減少が続く見込みです。

同時に高齢化も進むと予測されています。65歳以上人口の割合は、同計画の推計で2026年30.8%、2030年32.7%、2035年35.6%、2040年40.1%となっており、2040年には人口のおよそ4割を65歳以上が占める見通しです。

一方で、高齢化が進むからといって、すべての地域・診療科で同じ医療需要が生じるわけではありません。クリニックを開業する際には、候補地周辺の高齢者人口、年少人口、競合クリニック、病院、介護施設などの分布を確認し、将来の患者構成まで考慮することが重要です。

参照元:泉南市「地区別世帯人口統計・性別年齢別人口統計」「泉南市第9期地域包括ケア計画」

泉南市のクリニック開業物件の事例

泉南市信達岡中 ショッピングモール内医療テナント(計画物件)

府道63号泉佐野岩出線沿いの泉南市信達岡中で計画されている、ショッピングモール内の医療テナントです。JR阪和線「和泉鳥取駅」「和泉砂川駅」から車で約5分の場所に位置し、自動車での来院を想定した立地となっています。

従来のページでは「2026年秋頃オープン予定」としていましたが、2026年8月時点の募集情報では「2027年度オープン予定」へ変更されています。現在も医療テナントの募集情報が掲載されています。

※計画中の物件であり、中止・延期や募集条件の変更が行われる可能性があります。開業を検討する場合は最新の募集状況をご確認ください。

参照元:メディカルリサーチ「大阪府泉南市ショッピングモール内1階医療テナント(計画物件)」

クリニック開業を成功させるために

泉南市は約5.7万人が暮らし、40施設の一般診療所と7施設の病院が地域医療を支えています。現行の大阪府外来医療計画では泉州二次医療圏は外来医師多数区域ではありませんが、それだけを理由に「新規開業しやすい」「医師が不足している」と判断することはできません。

また、泉南市では今後も人口減少と高齢化が進み、2040年には65歳以上人口が約4割を占めると推計されています。現在の患者数だけでなく、10年後・15年後の人口構成や医療需要まで見据えた開業計画が必要です。

開業を検討する際には、人口・年齢構成、競合クリニック、病院との役割分担、交通アクセス、患者の来院手段、将来人口などを組み合わせた診療圏調査を行い、地域に適した診療内容と事業計画を検討しましょう。

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