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貝塚市のクリニック開業事情

貝塚市のクリニック開業傾向

約8万人が暮らす泉州地域の住宅都市

貝塚市は大阪府泉州地域に位置し、大阪湾側の市街地から和泉葛城山系まで広がる都市です。南海本線、JR阪和線、水間鉄道水間線などを利用でき、大阪市方面だけでなく関西国際空港や和歌山方面への移動にも便利な立地です。

2026年8月1日現在の住民基本台帳人口は80,087人です。南海本線・水間鉄道が接続する貝塚駅を中心に市街地が形成される一方、東貝塚、二色浜、水間観音など複数の生活圏があるため、クリニック開業では市全体の人口だけでなく、候補地ごとの患者動線を確認する必要があります。

2026年8月時点で大阪府が公表している最新の市町村別詳細データである「令和5年医療施設調査」では、貝塚市には57施設の一般診療所と8施設の病院があります。一般診療所は人口10万人あたり69.8施設です。

高齢化は進む見込みだが、現在の高齢化率は約28.5%

従来のページでは「2020年に高齢化率約30%」としていましたが、2020年国勢調査では65歳以上人口の割合は27.5%でした。

さらに、2026年8月1日現在の住民基本台帳では、65歳以上人口は22,822人で、総人口80,087人に占める割合は約28.5%です。高齢化は進んでいますが、現時点で30%を大きく超えている状況ではありません。

一方、国立社会保障・人口問題研究所の将来推計では、高齢化率は2030年に約31.0%、2040年に約38.1%、2050年に約40.9%となる見込みです。内科、整形外科、リハビリテーション、在宅医療などを検討する場合には、将来の高齢化だけでなく、候補地周辺の既存医療機関や介護サービスの供給状況も確認しましょう。

在宅医療は将来需要だけでなく既存の提供体制も確認

高齢者割合の上昇に伴い、通院が難しくなった患者への訪問診療や、慢性疾患の継続管理などは今後の医療提供を考える上で重要なテーマです。

一方、地域医療情報システム(JMAP)の最新集計では、貝塚市には11施設の在宅療養支援診療所があり、人口10万人あたり13.03施設となっています。全国平均の12.64施設と大きな差はありません。

そのため、「高齢化が進むから在宅医療なら開業しやすい」と判断するのではなく、既存の訪問診療クリニックや在宅療養支援病院、訪問看護ステーション、介護事業所、調剤薬局などを含めた地域の在宅医療提供体制を確認することが重要です。

泉州二次医療圏は「外来医師多数区域」には該当しない

貝塚市が属する泉州二次医療圏は、大阪府の第8次医療計画において「外来医師多数区域」には位置付けられていません。大阪府では、三島・北河内・中河内・南河内・泉州を外来医師多数区域以外として扱っています。

ただし、外来医師多数区域ではないことが、そのまま「医師が不足している」「クリニックを開業しやすい」という意味ではありません。診療科や候補地によって競合状況は大きく異なります。

また、大阪府では一般診療所の新規開設者に「地域医療への協力に関する意向書」の提出を依頼しています。在宅医療、休日・夜間診療、学校医、予防接種など地域で必要とされる医療への協力についても検討しておきましょう。

貝塚市の医療施設数(2026年時点の最新公表データ)

2026年8月時点で大阪府が公表している最新の市町村別詳細データである「令和5年医療施設調査」では、貝塚市の医療施設数は以下の通りです。

一般診療所57施設のうち有床診療所は4施設で、病床数は58床です。また、市内8病院には合計2,348床があります。

貝塚市では一般診療所だけでなく病院も複数あるため、開業時にはクリニック同士の競合だけでなく、専門的な検査や入院治療を担う病院との役割分担・病診連携も確認することが重要です。

貝塚市の主な診療科系統別のクリニック数

地域医療情報システム(JMAP)が掲載している最新の地域内医療機関情報では、貝塚市の主な診療科系統別の一般診療所数は以下の通りです。

なお、複数領域を診療するクリニックは、それぞれの診療科系統に重複して計上されています。そのため、上記を合計しても一般診療所の総数とは一致しません。

また、JMAPの最新地域内医療機関情報では一般診療所51施設となっており、大阪府の令和5年医療施設調査の57施設とは集計時点・情報更新の基準が異なります。

人口10万人あたりで見ると、小児科系10.66施設、産婦人科系2.37施設、皮膚科系3.55施設、耳鼻咽喉科系2.37施設など、全国平均を下回る診療科系統もあります。ただし、人口比で施設数が少ないことと、患者需要が満たされていないことは同じではありません

市内8病院の診療機能や岸和田市・泉佐野市など周辺都市への患者移動も考慮し、候補地を中心とした診療圏調査で開業可能性を判断しましょう。

貝塚市でクリニックを開業するための準備

開業に必要な許認可と要件

貝塚市で診療所を開設する場合は、大阪府岸和田保健所が開設許可・届出などの手続きを担当します。岸和田保健所の管轄区域は岸和田市・貝塚市です。

従来のページでは「岸和田市保健所」としていましたが、正しくは大阪府の岸和田保健所です。大阪府では診療所の開設や構造変更等について、必要に応じて所管保健所へ事前相談するよう案内しています。

診療所開設届・診療所開設許可申請

従来のページでは「開設届が受理されないと診療行為を行えない」としていましたが、医師個人による診療所開設届は開設後に行う届出です。一方、医療法人など非医師による開設では事前許可が必要です。

ただし、物件の構造や設備について事前に確認した方がよいケースもあるため、物件契約や内装工事を進める前から岸和田保健所へ相談しておきましょう。

保険医療機関指定申請

健康保険を利用した保険診療を行う場合には、診療所の開設手続きとは別に、近畿厚生局へ「保険医療機関指定申請」を行い、保険医療機関として指定を受ける必要があります。

大阪府に所在する医療機関の申請は近畿厚生局の指導監査課が提出先となります。指定申請には締切日が設定されているため、希望する開業日から保険診療を開始できるよう、開業日から逆算して準備しましょう。

地域医療への協力・G-MISへの報告

大阪府では、新たに一般診療所を開設する人に「地域医療への協力に関する意向書」の提出を依頼しています。提出は医療法上の義務ではありませんが、地域で必要とされる医療への協力意向を把握するために活用されています。

また、各種申請等と合わせて、厚生労働省の医療機関等情報支援システム(G-MIS)による医療機能情報の報告についても確認しましょう。

その他の届出・申請について

診療内容や設備によっては、診療所開設以外にも申請・届出が必要となります。診療用エックス線装置を設置する場合、病床を設置・変更する場合、構造設備を変更する場合などには、それぞれ所定の手続きを確認してください。

クリニックの開業までの流れ

  1. クリニックの構想・事業計画を策定する
    診療科、対象患者、専門領域、診療方針、経営理念などを明確にし、想定患者数や診療単価、固定費を踏まえた事業計画を策定します。
  2. 診療圏調査・物件の選定
    人口・年齢構成、競合クリニック、病院、交通アクセス、住宅・商業施設などを調査します。貝塚駅、東貝塚駅、二色浜駅などでは患者の生活動線が異なるため、エリアごとに比較しましょう。
  3. 資金を調達する
    物件取得費、内装工事費、医療機器費、人件費、広告費、運転資金などを算出し、金融機関へ融資を相談します。
  4. 医療機器・内装レイアウトを決定する
    診療内容に必要な医療機器を選定し、患者とスタッフ双方が移動しやすい院内動線を設計します。大型医療機器を導入する場合は搬入経路、電源、床荷重なども確認します。
  5. 税理士・社会保険労務士などを選定する
    税務や労務を外部へ依頼する場合には、クリニックや医療法人の支援経験がある専門家かどうかも確認しましょう。
  6. 各種申請・届出を行う
    岸和田保健所への診療所開設手続き、近畿厚生局への保険医療機関指定申請などを進めます。必要な手続きと締切を一覧化し、開業日から逆算して準備しましょう。
  7. スタッフ採用・研修・集患準備
    看護師や医療事務など必要なスタッフを採用し、電子カルテ、予約システム、患者対応などについて研修します。ホームページや地域への周知など開業前の集患準備も進めます。
  8. 開業
    設備、人員、行政手続きなどの準備が整ったら診療を開始します。開業後も患者数や患者層、収支などを確認しながら運営を改善しましょう。

貝塚市で注目したいエリア

貝塚駅周辺

南海本線と水間鉄道水間線が接続する「貝塚駅」は、市内の主要な交通拠点です。駅周辺には住宅、商店、公共施設などが集まり、市内各地域から鉄道・バスなどでアクセスできます。

2026年3月には「南海貝塚駅周辺まちづくり基本計画」が策定されました。今後、駅前広場等の都市計画を見直し、駅周辺を市民が滞在・交流しやすい空間へ整備していく方針が示されています。

さらに、貝塚駅徒歩1分の近木町では、2026年度中の完成を予定する新しい医療モール計画もあります。今後は新規クリニックの供給が増える可能性があるため、現在の競合だけでなく開院予定の医療機関まで確認することが重要です。

東貝塚駅周辺

JR阪和線「東貝塚駅」周辺は住宅地が広がる生活圏です。貝塚市では駅構内のバリアフリー化や西側改札口の整備に合わせて駅前広場・アクセス道路を整備し、駅西側地区のまちづくりを進めてきました。

開業を検討する際には、駅徒歩圏だけでなく半田・小瀬・新井など周辺住宅地からの自転車・自動車による来院範囲も含めて診療圏を設定しましょう。

二色浜駅周辺

南海本線「二色浜駅」周辺では、駅西側の駅前広場整備や駐輪場の集約、東側改札口の新設に伴う歩道整備などを盛り込んだ都市再生整備計画が進められています。

2026年3月にも計画が更新されており、今後、駅利用者の利便性や歩行者の安全性向上が図られる予定です。駅周辺での開業を検討する場合には、整備後の人の流れや住宅地からのアクセス変化も確認するとよいでしょう。

貝塚市の人口数・推移予測

貝塚市の人口は2009年頃をピークに減少傾向へ転じています。2020年国勢調査では84,443人でしたが、2026年8月1日現在の住民基本台帳人口は80,087人となっています。

国立社会保障・人口問題研究所の2023年推計では、貝塚市の総人口は2030年76,635人、2040年68,149人、2050年59,365人まで減少すると予測されています。

一方、65歳以上人口は2020年の23,229人から2040年には25,944人まで増加する見込みです。高齢化率は2020年27.5%から、2030年約31.0%、2040年約38.1%、2050年約40.9%へ上昇すると推計されています。

0~14歳人口は2020年の10,880人から2030年7,727人、2050年5,392人へ減少する見込みです。クリニックを長期的に運営するためには、現在の人口だけでなく、10年・20年後の人口規模と患者の年齢構成まで考慮した事業計画が重要です。

貝塚市のクリニックモールやクリニックビルの事例

貝塚駅前 医療モール(2026年度中完成予定)

南海本線・水間鉄道水間線「貝塚駅」から徒歩1分、近木町で計画されている新築医療モールです。2026年度中の完成予定とされ、複数のクリニック区画が計画されています。

従来のページでは貝塚市内に医療モール情報がないとしていましたが、2026年現在は貝塚駅前で新規医療モール計画が確認できます。

ただし、募集科目や完成時期などは変更される可能性があるため、実際に出店を検討する場合には最新の物件情報を確認してください。

クリニック開業を成功させるために

貝塚市は2026年8月現在で約8万人が暮らし、57施設の一般診療所と8施設の病院がある地域です。一方、人口は長期的に減少する見込みで、高齢化率は2050年には約4割まで上昇すると予測されています。

小児科、産婦人科、皮膚科、耳鼻咽喉科など人口あたり施設数が全国平均を下回る診療科系統もありますが、それだけを理由に「不足している」「開業しやすい」と判断することはできません。在宅医療についても既存の在宅療養支援診療所があります。

さらに、貝塚駅では駅周辺まちづくりと新規医療モール計画が進み、東貝塚駅や二色浜駅でも駅周辺環境の整備が行われています。人口・年齢構成、診療科別の競合、病院との役割分担、在宅医療の提供状況、交通アクセス、新規開院予定、将来人口などを組み合わせた診療圏調査を行い、候補地ごとの事業性を判断しましょう。

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