地域包括診療加算とは？算定対象クリニックについて

地域包括診療加算とは、かかりつけ医としての機能を有するクリニックを評価するものです。このページでは地域包括診療とは何か、メリット・注意点などを紹介します。

地域包括診療とは

日本において医療施設が充実しているため、多くの方が医療提供を受けられる体制が整っています。さらに医療技術の進歩によって、これまでは治療が困難とされてきた病気も問題なく治療できるようになり、治療を受けながら普段の生活を送るケース少なくありません。しかし進行した状態で発見すれば手遅れになる恐れもあり、できる限り早期に疾患を発見することが大切です。

そこで国策として、できる限り住み慣れたエリアで自分らしい生活を送ってほしいという点を目的に「地域包括システム」を推奨しています。その一つが「地域包括診療」です。

• 脂質異常症
• 高血圧症
• 糖尿病
• 慢性心不全
• 慢性腎臓病（慢性維持透析を行っていないものに限る。）
• 認知症

上記の厚生労働省が定めた疾患のうち2つ以上の疾患を患った患者に対し、療養上で必要となる指導・診療を行うことです。つまり1つの疾患しか患っていなければ、地域包括診療は行えません。

地域包括診療加算とは

地域包括診療を行った際に加算する点数のことを「地域包括診療加算」と呼びます。

• 地域包括診療加算1：25点
• 地域包括診療加算2：18点

参照元：株式会社クレドメディカル｜地域包括診療加算の届出や算定要件（https://www.credo-m.co.jp/column/detail/hosyu/4650/）

上記のように2つに分けられており、地域包括診療加算1と2では施設基準が異なります。地域包括診療加算1は往診や訪問診療などの体制が確保している必要があり、地域包括診療加算2では患者との24時間の電話連絡体制を整えていることなどが条件です。

これらの加算を算定するためには、初回算定時に患者へ書面で治療の同意を得なければなりません。また担当医を設定し、担当医が診療した場合に限り算定が可能です。

算定によるメリット・注意点

地域包括診療加算を満たすためには高血圧症・糖尿病・脂質異常症・認知症のうち2つ以上の疾患を有する必要があり、対象者が限定されてしまう可能性もあります。また往診体制・24時間連絡体制などクリニックによっては負担が大きくなるため、届け出をするかどうか悩むケースも少なくないでしょう。 ただ地域包括診療加算の届け出をすることで、機能強化加算も算定できるなど診療単価アップも図りやすくなります。クリニック経営の強化を図りたいのであれば、一度検討してみると良いでしょう。

地域包括診療加算の算定要件

• 初回の算定する際、患者の署名がある同意書を作成したうえで診療録に添付する
• 患者に処方されている全ての薬を管理し、診療録に記載する
• 標榜の時間外の電話など24時間の問い合わせに対応可能な体制を整えている

上記が地域包括診療加算の算定要件となります。そのため初回時・訪問診療時には算定できず、電話再診料を算定する場合には算定できないので注意しましょう。

地域包括診療加算の対象施設

地域包括診療加算の対象となるのは、クリニック・診療所です。基本的に診療所は入院できる施設が19床以下に限られており、20床以上となると病院となるため地域包括診療加算の対象とはなりません。

また診療所としては1人の意思が常駐していれば基準はクリアしますが、地域包括診療加算の条件を満たすためには、以下の要件を満たす必要があります。

• 常勤の医師が2人以上常勤している
• 在宅療養支援診療所であること
• 時間外対応加算1または2の届け出が行われていること

上記の3つの条件の中で1つの条件を満たす必要があります。また上記以外にも研修を受講する必要もあるので注意してください。

地域包括診療の算定方法・届け出に関する注意点

• 該当の施設基準を満たしたうえで、地方厚生局に届け出を行っていること
• 2年ごとに20時間の研修を受講し、さらに受講記録の提出を行っていること

地域包括診療加算の届け出をするにあたって、上記のような注意点があります。もし受講記録の提出がなければ、取り消しとなる恐れもあるので注意しましょう。

• 書面による同意を得ていること
• 担当医が外来診療にて再診料を算定した場合に算定が可能

上記の2つの点も算定方法の注意点となります。