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小児科を開業する

こちらでは、小児科を開業するメリット・デメリット、成功する・失敗する開業のポイント、タイミング、年収情報、大阪府内の市ごとの開業件数などを紹介しています。大阪エリアで小児科を開業する際の参考にしていただけたら幸いです。

小児科を開業するメリット・デメリット

小児科を開業するメリットの一つは、物件取得費や賃料のコストを安く抑えられる可能性があることです。小児科の場合、立地は駅前より住宅街のほうが適していると言われており、住宅街で開業すれば、駅前の高額なテナントを借りる必要がなくなるため、費用を低減できます。

その他、自分の裁量で診療方針を決定したり、独自性のある診療を提供したり、自分の地元で開業することで、医療を通じた地域貢献につながることもメリットです。

デメリットは、医師の代わりがいないことでしょう。院長自身が体調不良になったり、学会に出席する日は臨時休診としなければなりません。

また、院長は医師であると同時に経営者でもあるため、開業資金や運転資金を自分で調達する必要があります。

成功する開業と失敗する開業のポイント

小児科に適した立地条件

小児科の開業に適した立地条件は、駅前よりも子どものいる家族が多く住む住宅街です。子どもの具合が悪くなった場合、近所にクリニックがあれば、時間をかけずに素早く診察に連れて行くことができます。

住宅街で駅にも近く、競合も少なく、駐車場を用意できる立地条件であればさらに理想的です。患者はますますクリニックを利用しやすくなるでしょう。

このように、小児科に適した立地条件を選ぶことは、成功要因の一つになります。

利用しやすい院内設備

患者が利用しやすい院内設備が整っているかどうかも、成功と失敗を分ける要因の一つです。

例えば、院内の間口をなるべく広く取り、段差をなくして、ベビーカーのまま入れる構造にしておけば、保護者にとっても、子どもにとっても通いやすくなります。

またベビーカー置き場、ベビーベッド、キッズスペースなど、子ども用の設備を充実させることで満足度が上がり、リピーターの増加も期待できます。内装に関しても、子どもに配慮したデザインを心掛けるといいでしょう。

院内感染予防対策

小児科には感染症で受診する患者も多く訪れるため、院内感染予防対策の徹底も必要になります。

具体的な予防対策方法としては、感染症が疑われる患者と、一般の患者の待合室やトイレを別に分けたり、動線、診療時間帯の区分などがあります。

このように、院内感染予防対策を講じているクリニックなら、保護者も子どもも落ち着いて受診できるでしょう。

小児科開業のタイミング

小児科を開業するタイミングについては、深く考える必要はありません。開業に適したタイミングは「人それぞれ」です。

医師としての経験を積み重ね、諸々の準備が整い、なおかつ社会のニーズにもマッチしていると判断したら、その時が適したタイミングとなるかもしれません。

一般的には40代での開業が多いと言われますが、30代前半や50代後半になって開業を目指す人もいるなど、開業するタイミングの年齢層は幅が広いです。

開業資金や年収の情報

一般的なテナント開業資金のサンプル

一般的な年収

一般的な小児科クリニックをテナント開業する場合、約4,600万円の開業資金が必要になります。

他の診療科目と比べると比較的安いといえますが、小児科の場合は、ベビーカーでの来院を想定して間口を広く施工したり、広いテナントを確保する必要もあるため、施工方法や設備の充実度によって開業資金は変動します。

年収に関しては、一般的な小児科医の平均年収は約3,000万円といわれています。これは全診療科の平均より高めですが、大人と比べて子供の受診頻度が高いことが理由に挙げられるでしょう。少子化が進めば状況が変わってくるかもしれません。

※参照元:クリニック開業ポイント|PHC(https://www.phchd.com/jp/phcmn/service/column/article504)

代表的な大阪府内の市ごとの開業件数(小児科標榜クリニック数)

※2022年10月時点の情報

大阪府内の小児科を標榜するクリニックは、少子化の影響もあって近年は減少傾向となっています。

一方で、小児科医の不足により、逆に小児医療への需要が高まっている地域も少なくないため、開業を成功させるためには診療圏調査が重要です。

ただし、こうした作業は専門的な知識も必要なため、ドクターだけで行なうのは無理があります。開業支援から開業後の経営サポートまで手がけてくれる、信頼できる開業コンサルタントを選ぶことが大切です。

参照元:日本医師会/地域医療情報システム

小児科の開業のポイント

立地

小児科は生活圏内に求める傾向にあります。遠方まで足を運ぶのではなく、まずは生活圏内にある小児科の中で、評判の良い所に足を運びますので住宅地でも特に問題はありません。駅前や駅近でも問題ありませんが、わざわざ隣駅まで子どもを連れて通院するケースは稀です。ただし敷地は広めに取ることをおすすめします。患者として来院する子ども、その親御さん、あるいは家に置いていけない子どもなど、小児科には患者以外も訪れます。ベビーカーで訪れるファミリーも珍しくありませんので、待合室が狭いとすぐに混雑してしまいます。

また、待っている子どもが飽きないための設備・スペースも大切になります。狭い場所での工夫には限界がありますので、初めからある程度広い場所を確保した方が良いでしょう。

内装

子どもが多い点を考慮した内装が求められます。例えば汚れ。どうしても汚れが出てしまいますので、汚れをふき取りやすい素材、あるいは汚れが目立たないようなカラーリングを採用すると良いでしょう。また通路や待合室は広めに設計しましょう。ベビーカーにて子どもを連れてくる親御さんもいますので、通路が狭いと乳母車での通行に支障をきたします。

ベビーカーで来院するとストレスがかかるとなれば、「次も」とはなりません。リピーター獲得機会損失となりますので、ベビーカーでも問題なく通れる幅を確保しましょう。入口も同様です。患者となる子どもだけではなく親御さん、ベビーカーが一度に通ることになりますので、他の患者さんとタイミングが重なると狭い入口では通行の妨げとなってしまいます。

採用

看護師と受付(医療事務スタッフ)を採用することになります。親御さんだけではなく、子どもを相手にすることになりますので子どもが苦手ではない方を採用した方が良いでしょう。特に小児科は口コミが広がりやすいです。子どもを連れてくる親がまだまだ若いこともあり、友人・知人と積極的に情報交換を行っていますし、WEBの口コミもチェックしています。子どもが苦手だったり、あるいは愛想のない受付を採用してしまうと、自身が親身に診察しても受付の対応によって自院の評判を落としかねません。

ベビールームを設置したことで保育士を採用する小児科もあります。保育士に関しては必須ではありませんが、子どもの扱いに慣れているスタッフの存在は心強いので、ベビールームの拡充を考えている場合には保育士の採用も一考してみましょう。

マーケティング

小児科のマーケティングはWEBマーケティングが重要です。小児科の患者は子どもですが、子どもを連れてくるのは親です。子どもの親世代はいわゆるネットネイティブ世代です。WEBへの抵抗感が低く、分からないことはWEBで自発的に調べます。病院に通う前に病院のWEBサイトや口コミをチェックしますので、WEBサイトは充実させておきましょう。

ただし、知ってもらうことも大切なので若い親世代が足を運ぶ場所に看板を設置するなどのアナログ的な広告も大切です。存在を知った親はWEBサイトを確認し、足を運ぶに値するのかを確認する流れとなります。つまり、小児科のマーケティングは「親に知ってもらう」「知ってもらった親を納得させる」の二つの観点が求められます。

成功事例

スタッフが全員「母親」であることを売りにした小児科が成功を収めた事例があります。院長だけではなく、スタッフ全員が母親なので「子どもと母親の気持ちがわかる」を全面的にアピール。母親なので家事の兼ね合いから診察時間は夕方前までと短時間なものの、多くの来院者を獲得しているとのことです。

利便性を追求したことで成功した小児科もあります。アクセスの良い好立地に開業すると、固定費のコストパフォーマンスを向上させるため土日診療、さらには平日も21時まで診察を行いました。好立地なので非常勤の医師も確保できたとのことで、仕事帰りや土日休みの方に好評で多くの患者を獲得しているとのの事例もあります。他にもベビーカーの預かりシステムや徹底したオペレーション研修等でホスピタリティを向上させたことで成功した事例もあります。

まとめ

小児科の開業を成功させるためには、ファミリー層が多い住宅街に物件を取得するなど、小児科に適した立地を選ぶことが大切です。

また、ベビーカーのまま来院、診療が受けられるなど、利用しやすい設備を整えることや、感染症で受診する子どもも多いため、院内感染予防対策の徹底も必要です。

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