大阪府内では大阪市に次ぐ人口規模を持つ堺市は、7つの行政区からなる政令指定都市です。大阪市中心部への交通アクセスにも優れ、住宅地として発展してきたエリアが広がる一方、堺東駅周辺をはじめとする商業集積地や泉北ニュータウンなど、地域によって人口構成や生活圏の特徴が異なります。
2026年8月時点で大阪府が公表している市町村別の最新の詳細データである「令和5年医療施設調査」によると、堺市には744施設の一般診療所があります。大阪府内でも多くの診療所が集まる都市であり、クリニックを開業する際には、市全体の人口規模だけでなく、区や駅単位まで範囲を絞って競合状況を確認することが重要です。
従来は、堺市について「クリニック医師が不足しており、開業医へのニーズが高い」と紹介していましたが、現在は医師数だけを見て開業余地を判断することは適切ではありません。
大阪府の外来医療計画では、堺市二次医療圏は「外来医師多数区域」に位置付けられています。一般診療所を新たに開設する際には、地域で求められる医療機能や既存医療機関との役割分担についても考慮する必要があります。
一方で、外来医師多数区域だからといって、市内のすべての地域・診療科で医療需要が満たされているわけではありません。堺区、北区、南区などでは人口構成や医療機関の分布も異なるため、開業予定地ごとの診療圏調査を行い、患者ニーズと競合状況を確認することが重要です。
堺市北区の中百舌鳥町周辺は、南海高野線・南海泉北線の「中百舌鳥駅」とOsaka Metro御堂筋線の「なかもず駅」が利用できる交通利便性の高いエリアです。なお、従来の泉北高速鉄道は2025年4月の南海電鉄との経営統合に伴い、現在は「南海泉北線」となっています。
なかもず駅からは御堂筋線を利用して大阪市中心部へ乗り換えなしでアクセスでき、駅周辺にはマンション、スーパー、飲食店、教育施設などが集まっています。堺市北区の人口は2026年8月1日現在で157,033人と、市内7区の中でも人口規模が大きい地域です。
また、駅徒歩圏には複数のクリニックが集まる「クリニックステーションなかもず」があり、2026年時点でも隣接地で新たなクリニック向け区画が募集されています。駅近での開業を検討する場合には有力な候補地のひとつですが、既存クリニックも多いため、診療科別の競合状況まで確認した上で判断しましょう。
2026年8月時点で大阪府が公表している最新の市町村別詳細データは、令和5年10月1日現在の「令和5年医療施設調査」です。堺市の一般診療所について、主な診療科目の施設数は以下の通りです。
なお、上記は一般診療所が標榜する「診療科目延数」です。1つのクリニックが複数の診療科を標榜している場合はそれぞれの診療科に計上されるため、各診療科の施設数を合計しても一般診療所744施設とは一致しません。
内科は400施設を超えており、堺市内でも特に多く標榜されています。一方、診療科の施設数が少ないからといって、その診療科の患者需要が必ず高いとは限りません。例えば小児科では年少人口、整形外科では高齢人口、婦人科では年齢・性別人口など、診療科ごとに患者となり得る人口構成が異なります。開業予定地周辺の人口や競合クリニックの専門領域まで調査することが重要です。
堺市で診療所を開業する場合は、医療法に基づく開設手続きが必要です。2026年4月13日に更新された堺市の案内では、医師が個人で開設する場合と、医療法人など医師以外の者が開設する場合で手続きが異なります。
従来のページでは「開設届が受理されるまでは診療行為ができないため、開設前に提出する」としていましたが、医師個人による開設届は開設後10日以内に届け出る手続きです。一方、医療法人など非医師が開設する場合は事前の開設許可が必要です。
堺市も、診療所の開設や構造変更などを行う際には、必要に応じて堺市保健所へ事前相談し、計画内容や書類作成方法について助言・指導を受けるよう案内しています。開業日や内装工事のスケジュールを決める前に相談しておくとよいでしょう。
健康保険を利用した保険診療を行うためには、診療所の開設手続きとは別に、近畿厚生局へ保険医療機関指定申請を行う必要があります。希望する開業日から保険診療を始められるよう、申請締切や指定日を事前に確認して開業スケジュールを組みましょう。
大阪府では、一般診療所を新規開設する場合、「地域医療への協力に関する意向書」の提出を依頼しています。堺市二次医療圏は外来医師多数区域に位置付けられており、在宅医療、休日・夜間急病診療所への出務、学校医、予防接種など、地域で必要とされる医療への協力意向を確認する仕組みがあります。
意向書の提出は医療法上の義務ではありませんが、堺市の診療所開設手続きページでも提出への協力が案内されています。
診療内容や設備によっては、開設手続きのほかにも届出や許可が必要です。病床の設置・変更、診療用エックス線装置などの設置、構造設備の変更など、それぞれに必要な手続きを確認しましょう。
また、CT・MRI・PET・放射線治療機器・マンモグラフィなどの対象医療機器を新たに購入・更新する医療機関には、大阪府から「医療機器の共同利用に関する意向書」の提出も依頼されています。
クリニック開業までの大まかな流れについてご紹介します。
中百舌鳥駅・なかもず駅周辺は、南海高野線、南海泉北線、Osaka Metro御堂筋線を利用できる交通利便性の高いエリアです。御堂筋線の始発駅でもあり、大阪市中心部方面へ通勤・通学する住民の利用も多くみられます。
駅周辺にはスーパー、飲食店、マンションなどが集積しているほか、クリニックステーションなかもずをはじめ複数の医療機関も立地しています。駅近という立地メリットがある一方、既存医療機関との競合も考慮して診療科や物件を選定する必要があります。
SUUMOが2026年7月10日に更新した、新築・駅徒歩1~5分の賃貸マンションの家賃相場は以下の通りです。なお、住宅用賃貸マンションの相場であり、クリニック向けテナントの賃料を示すものではありません。周辺の居住環境を把握する参考値として確認してください。
| ワンルーム | 6.9万円 |
|---|---|
| 1K | 7.0万円 |
| 1DK | 7.4万円 |
| 1LDK | 10.5万円 |
| 2K | 8.7万円 |
| 2DK | - |
| 2LDK | 12.6万円 |
| 3K | 12.1万円 |
| 3DK | 12.6万円 |
| 3LDK | - |
堺市の推計人口は、2026年8月1日現在で800,041人、世帯数は374,494世帯です。2020年国勢調査時の人口826,161人から減少しており、長期的にも人口減少が続くことが見込まれています。
堺市による最新の将来人口推計では、2030年に約77.4万人、2040年に約71.2万人、2045年に約68.1万人、2050年には約65.1万人まで減少すると予測されています。
年齢構成にも変化が見込まれています。0~14歳人口は2025年の約9万人から2050年には約6.9万人、生産年齢人口は約47.6万人から約33.6万人へ減少する一方、65歳以上人口は2040~2045年頃に約25.3万人まで増加すると推計されています。
そのため、堺市でクリニックを開業する際には単に現在の人口が多いエリアを探すだけでなく、将来の人口減少や高齢化、区ごとの年齢構成を考慮して診療科や診療体制を検討することが重要です。

堺市堺区の三国ヶ丘駅から徒歩圏にある「三国ヶ丘医療モール」。2026年時点でも複数のクリニックと調剤薬局が診療・営業しています。駅からアクセスしやすいほか、施設横には駐車場・駐輪場も設けられています。

JR阪和線「鳳駅」から徒歩圏にある大型商業施設「アリオ鳳」の2階に設けられている医療モールです。商業施設内のため、日常の買い物などと合わせて受診しやすい立地となっています。
2026年時点の物件資料では眼科、歯科、内科・外科・消化器内科などが入居しており、医療モールフロアには募集区画も掲載されています。

Osaka Metro御堂筋線「なかもず駅」1番出口から徒歩1分にある「クリニックステーションなかもず」。駅近の立地に複数の診療科と調剤薬局が集まっています。
2026年時点では、眼科、耳鼻咽喉科、内科・外科・婦人科・内視鏡内科、脳神経外科・脳神経内科・リハビリテーション科などのクリニックが入居しています。

南海高野線「北野田駅」西出口に直結する「ベルヒル北野田メディカルモール」。駅からアクセスしやすく、同じ建物内には商業施設なども入居しています。
2026年1月には公式サイトがリニューアルされており、現在も内科・消化器内科、眼科、整形外科、リウマチ科、リハビリテーション科、歯科、心療内科、漢方内科、神経内科、皮膚科、小児科など幅広い診療科が集まっています。

JR阪和線「上野芝駅」から徒歩7分のクリニックモールです。2026年8月時点でも公式サイト上で「現在募集中」と案内されています。
※募集状況や賃貸条件は変更される場合があります。契約前に最新情報をご確認ください。
既存の「クリニックステーションなかもず」の隣接地で募集されているクリニック向け物件です。Osaka Metro御堂筋線「なかもず駅」1番出口から徒歩1分という立地で、周辺に既存の複数診療科が集まっている点が特徴です。
※募集状況や条件は随時変更されるため、開業を検討する際には運営会社へ最新情報をご確認ください。
堺市は約80万人が暮らす大阪府内有数の都市であり、北区のなかもず周辺、堺区の中心市街地、泉北ニュータウンなど、地域によって異なる医療需要が存在します。一方、一般診療所は700施設を超えており、堺市二次医療圏は大阪府の外来医師多数区域にも位置付けられています。
そのため、「人口が多いから開業しやすい」「既存クリニックが少ない診療科だから需要がある」と判断するのではなく、候補地周辺の人口構成、競合クリニック、患者の生活動線、将来人口、周辺病院との連携可能性などを総合的に確認することが重要です。
特に堺市では長期的な人口減少と高齢化が予測されています。診療圏調査を行う際には現在の人口だけでなく、5年後、10年後を見据えた医療需要まで分析し、持続的に運営できる開業計画を立てましょう。
クリニック開業を目指すのであれば、開業エリアを検討するための診療圏調査と開業作業に併走してくれる開業コンサルタントが欠かせません。そのため、クリニック開業を考えるのであれば最初に「診療圏調査を無料で提供しているコンサルティング会社数社をピックアップし、問い合わせをすること」が必要になります。信頼できる大阪のコンサル会社を紹介してますので、是非チェックしてみてください。
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2022年1月31日時点で、「クリニック開業 大阪」「医院開業 大阪」とGoogle検索して表示された40社の中から、本格的な診療圏調査を無料で提供している会社の内、大阪に本社もしくは支店を持つ3社を、以下の理由により選出。
・メディカルシステムネットワーク:該当企業の内で唯一、自社で独自にクリニックモールを展開している。
・北浜医療総合経営:該当企業の内で唯一、大阪でのクリニック開業支援を専門的に行い、医業承継の事例を掲載している。
・YS‘Journal:該当企業の内で唯一、全国規模での開業物件サイトを運営している。