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東大阪市でクリニックを開業する

東大阪市のクリニック開業傾向

約400施設の一般診療所と病院が地域医療を支える

東大阪市は大阪市に隣接する人口約48万人の中核市で、近鉄奈良線・大阪線・けいはんな線、JRおおさか東線・学研都市線、Osaka Metro中央線など複数の鉄道路線を利用できます。住宅地だけでなく、製造業を中心とした事業所も数多く立地しており、地域によって居住人口や昼間人口、患者の生活動線が異なる点が特徴です。

2026年8月時点で大阪府が公表している最新の市町村別詳細データである「令和5年医療施設調査」によると、東大阪市には397施設の一般診療所と21施設の病院があります。一般診療所は人口10万人あたり81.6施設です。

市立東大阪医療センターをはじめ、急性期・回復期・慢性期などを担う病院も複数あるため、クリニックの開業では周辺の診療所だけでなく、病院の診療機能や紹介・逆紹介の可能性まで確認しておくことが重要です。

高齢化に伴い地域包括ケア・回復期医療などの需要変化を見込む

東大阪市が属する中河内二次医療圏では、高齢化や人口構成の変化によって、今後求められる医療機能も変わると予測されています。

大阪府が2025年に公表した地域医療構想の進捗資料では、中河内二次医療圏について、救急医療、地域包括ケア、回復期リハビリテーションなどの需要は2035年度頃まで増加すると見込まれています。一方、がんの一部診療機能や周産期、小児医療などについては長期的な需要減少が予測されています。

こうした予測は「特定の診療科なら開業しやすい」ことを意味するものではありません。開業を検討する際には、高齢者人口や疾患構成に加えて、周辺病院・クリニックが提供している医療や在宅・介護サービスとの連携可能性まで確認するとよいでしょう。

中河内二次医療圏は現在の「外来医師多数区域」ではない

東大阪市が属する中河内二次医療圏は、2024年度からの大阪府外来医療計画では「外来医師多数区域」には位置付けられていません。現在、府内の外来医師多数区域は豊能、堺市、大阪市の3二次医療圏です。

また、2026年3月に厚生労働省が公表した新制度の「外来医師過多区域」の候補区域にも中河内二次医療圏は含まれていません。大阪府内で国の候補区域となっているのは大阪市二次医療圏です。

ただし、外来医師多数区域や外来医師過多区域ではないからといって、東大阪市で新規開業の余地が大きいと単純に判断できるわけではありません。市内には397施設の一般診療所があるため、候補地周辺の診療科、人口、競合状況などを具体的に調査する必要があります。

東大阪市の主な診療科ごとのクリニック数(2026年時点の最新公表データ)

2026年8月時点で大阪府が公表している最新の市町村別詳細データは、令和5年10月1日現在の「令和5年医療施設調査」です。東大阪市の一般診療所について、主な診療科目の施設数は以下の通りです。

なお、上記は一般診療所が標榜する「診療科目延数」です。1つのクリニックが複数の診療科を標榜している場合、それぞれの診療科に計上されるため、診療科別の施設数を合計しても一般診療所397施設とは一致しません。

内科が250施設と最も多く、リハビリテーション科、整形外科、小児科、外科などが続きます。一方、形成外科や麻酔科、脳神経外科、産婦人科などは施設数が比較的少ないものの、施設数が少ないことだけを理由に「不足している」「開業に適している」と判断することはできません

東大阪市には21施設の病院があり、診療科によっては病院が専門外来や検査、入院医療を幅広く担っています。診療圏調査では、一般診療所だけでなく病院を含めた医療提供体制、対象となる年齢層、患者の受診範囲などを確認しましょう。

東大阪市でクリニックを開業するための準備

開業に必要な許認可と要件

東大阪市で診療所を開設する場合は、東大阪市保健所への手続きが必要です。東大阪市では大阪府の申請・届出様式を準用しており、提出先の宛名を東大阪市保健所長として手続きを行います。

市では、許可申請について開設予定日などのおおむね3週間前までに提出するよう案内しているほか、構造設備などが基準に適合しているか確認するため、計画段階で電話連絡の上、事前相談することを求めています。

診療所開設届・診療所開設許可申請

従来のページでは「開設届が受理されるまで診療できないため、開設前に提出する」としていましたが、医師が個人で開設する場合の診療所開設届は開設後10日以内に行う届出です。一方、医療法人などによる開設では事前の開設許可が必要です。

ただし、東大阪市は構造設備などについて事前確認を行うよう案内しています。物件契約や内装工事を進める前の段階から保健所へ相談し、開業までの手続きを整理しておくとよいでしょう。

保険医療機関の指定申請

健康保険を利用した保険診療を行うには、診療所の開設手続きとは別に、近畿厚生局へ「保険医療機関指定申請」を行い、保険医療機関として指定を受ける必要があります。

指定申請には締切があるため、希望する開業日から保険診療を開始できるよう、開業スケジュールから逆算して準備しましょう。

地域医療への協力に関する意向書

大阪府では、新たに一般診療所を開設する人に対して「地域医療への協力に関する意向書」の提出を依頼しています。中河内二次医療圏についても対象となっています。

意向書は医療法上の提出義務ではありませんが、在宅医療、休日・夜間診療、学校医、予防接種など、地域で必要となる医療への協力意向を確認するために活用されています。

その他の届出や申請について

診療内容や設備によっては、開設手続き以外にも申請や届出が必要です。病床の設置、構造設備の変更、診療用エックス線装置などの設置を予定している場合は、それぞれ必要となる手続きを確認しましょう。

クリニックの開業までの流れ

クリニックを開業する際の大まかな流れをご紹介します。

  1. クリニックの構想・事業計画を策定する
    診療方針、対象患者、提供する医療、経営理念などを明確にします。想定患者数や診療単価、固定費などを踏まえた収支計画も作成しましょう。
  2. 診療圏調査・物件の選定
    人口、年齢構成、競合医療機関、昼間人口、交通アクセス、病院の診療機能などを分析し、開業候補地を比較します。東大阪市は布施、河内小阪、八戸ノ里、若江岩田、荒本、長田、瓢箪山など、地域によって人口特性や患者動線が異なるため、細かなエリア単位で確認することが重要です。
  3. 資金の調達
    物件取得費、内装工事費、医療機器費、人件費、広告費、開業後の運転資金などを算出し、金融機関へ融資を相談します。
  4. 医療機器・内装レイアウトを決定する
    診療内容に応じた医療機器を選定するとともに、患者とスタッフ双方の動線を考慮して院内を設計します。大型機器を導入する場合には、搬入経路や電源、床荷重なども確認しましょう。
  5. 税理士・社会保険労務士などを選定する
    税務や労務を外部へ依頼する場合は、医療機関や医療法人の支援経験がある専門家かどうかも確認して選定します。
  6. 各種手続き・申請を行う
    東大阪市保健所への診療所開設手続きや、近畿厚生局への保険医療機関指定申請などを進めます。必要な手続きと締切日を整理し、開業日から逆算して対応しましょう。
  7. スタッフ採用・研修・集患準備を行う
    看護師や医療事務など必要なスタッフを採用し、電子カルテや予約システム、患者対応などの研修を行います。ホームページや地域への周知など、開業前の集患準備も進めます。
  8. 開業
    設備、人員、行政手続きなどが整ったら診療を開始します。開業後も患者数や患者層、収支などを定期的に確認しながら運営方法を改善していきましょう。

東大阪市の人口数・推移予測

東大阪市の住民基本台帳人口は、2026年6月30日現在で479,583人、世帯数は258,293世帯です。年齢3区分別では、0~14歳が48,324人、15~64歳が299,190人、65歳以上が132,069人となっています。

65歳以上が総人口に占める割合は27.54%です。一方、2025年国勢調査の速報では人口482,618人となっており、2020年国勢調査の493,940人から11,322人減少しています。

ただし、人口動態には変化もみられます。東大阪市によると、2022年以降は転入超過が続いており、2024年には大阪府内で3番目に多い転入超過となりました。長期的な人口減少が続く中でも、直近では社会増が人口減少を一部補っている状況です。

最新の東大阪市の計画資料では、国立社会保障・人口問題研究所の推計をもとに、2030年約45.9万人、2040年約41.8万人、2045年約39.8万人、2050年約37.7万人まで減少すると見込まれています。また、2050年には高齢者の割合が約34%まで上昇する見通しです。

市独自の高齢者保健福祉計画でも、将来的な人口減少と高齢化が予測されています。そのため、クリニック開業では現在の人口だけでなく、候補地周辺の年齢構成や人口移動、住宅開発、将来の患者構成まで考慮して診療圏を分析することが重要です。

東大阪市のクリニックモールやクリニックビルの事例

瓜生堂クリニックビルⅠ・Ⅱ

従来のページでは「東大阪市瓜生堂3-1-11」の瓜生堂クリニックビルを紹介していましたが、現在は近隣の若江西新町1丁目に2022年開設の「瓜生堂クリニックビルⅠ・Ⅱ」があり、複数のクリニックが診療しています。

市立東大阪医療センターから徒歩圏にあり、近鉄奈良線「八戸ノ里駅」「若江岩田駅」からもアクセスできます。NORTH・SOUTHの2棟に複数の診療科が集まり、共有駐車場も設けられています。

クリニックコート東野

近鉄けいはんな線「荒本駅」から徒歩1分の場所にある「クリニックコート東野」。東大阪市役所にも近く、鉄道・バス・自動車でアクセスしやすい医療施設です。

2026年時点では、整形外科、脳神経外科、脳神経内科、リハビリテーション科、乳腺外科などを診療する「そばじまクリニック」や、耳鼻咽喉科のクリニックなどが同施設内で診療しています。MRIなどの画像診断設備も活用されています。

東大阪Mビル

東大阪市新家西町にある「東大阪Mビル」は、地域のクリニックや薬局、オフィスなどが入居する総合施設です。Osaka Metro中央線「長田駅」からアクセスでき、建物の表側・裏側に専用駐車場も用意されています。

2026年時点では、耳鼻咽喉科、整形外科・リハビリテーション科・皮膚科、乳腺外科・乳腺内科のクリニックと調剤薬局が入居しています。また、現在も医療テナントの募集が行われています。

クリニック開業を成功させるために

東大阪市には約48万人が暮らし、397施設の一般診療所と21施設の病院が地域医療を支えています。中河内二次医療圏は現在の大阪府外来医療計画では外来医師多数区域ではなく、2026年に始まった外来医師過多区域制度の国の候補区域にも含まれていません。

一方で、市内にはすでに多くの一般診療所があるため、それだけを理由に新規開業の余地が大きいと判断することはできません。また、長期的には人口減少と高齢化が見込まれ、地域包括ケアや回復期医療などの需要構造も変化していくと考えられます。

開業を検討する際には、人口・年齢構成、競合クリニック、病院との役割分担、昼夜間人口、交通アクセス、住宅開発、将来人口などを組み合わせた診療圏調査を行い、候補地に適した診療内容と事業計画を検討しましょう。

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