腸や肛門などの疾患を対象に治療を行う肛門科。他の診療科とは異なり、数が決して多いとはいえません。しかし、開業方法次第では高単価・高収益も期待できるでしょう。このページでは、肛門科を開業するためのポイントや、開業のタイミングなどについて解説します。
肛門科を開業するうえで押さえておきたいポイントは、手術と外科的処置の両方に対応できるようにすることです。肛門科の場合、患者さんの多くは病状として血便を訴えます。血便は初診で内視鏡検査を実施しますが、内視鏡検査は診療単価が高くなっています。また、検査結果次第では手術などを行う必要がありますが、手術などは基本的に高単価です。
大阪府において、肛門科はわずか5件(2022年12月時点)しかありません※1。その理由として挙げられるのが収益性の低さです。肛門科は他の診療科に比べて収益力が低いことから、単科の診療所は限られてしまいます。そのため、手術や外科的処置に対応できる体制を整えることで、クリニックの収益改善が可能になります。
反対に収益性を重視しなければ、肛門科は単科での経営が困難といえます。クリニックを安定経営させるためにも、しっかり収益性を考慮しましょう。
※1参照元:日本医師会_JMAP_地域医療情報システム(https://jmap.jp/)
肛門科の少しでも収益性を高めるためには、肛門科単科ではなく重複診療科も検討しましょう。肛門科は収益性が低いことから、単科での経営はやや厳しいといわざるを得ません。実際に肛門科の診療所などは、重複診療科になっているケースがほとんどです。
重複診療科にした場合、幅広い患者さんのニーズの取り込みと収益性の改善が可能になります。例えば消化器内科とした場合、食道や胃腸などの検査や健康アドバイスにも対応できます。診療単価は低いものの、肛門科単科より多くの患者さんを集めることが可能です。
立地も意識するとよいでしょう。クリニックを駅から徒歩数分圏内に開業すれば、鉄道沿線の患者さんも取り込むことが可能です。診療時間にもよりますが、仕事の帰宅中に立ち寄れる立地に開業した場合、会社員の患者さんにも対応できます。ただし、診療圏によって利用者層は変わりますので、ある程度リサーチはしておきましょう。
肛門科を開業するタイミングですが、基本的に時期を絞る必要はありません。季節を問わず患者さんのニーズがありますので、焦って開業する必要はないでしょう。安定経営のためには、開業資金を貯めるなど、入念に準備をすることが大切です。
ただし、自治体の補助金・助成金活用を検討中の場合は注意しましょう。募集時期に合わせて開業のタイミングを決める必要があります。自治体の補助金などは、予算に達し次第終了するため、スケジューリングはしっかり行いましょう。
参照元:PHCメディコム株式会社/肛門科で失敗しない開業ポイント・年収や開業資金も解説/https://www.phchd.com/jp/phcmn/service/column/article516
あくまで一例ですが、肛門科のクリニック開業には約1.1億円の資金が必要です。金融機関の融資を利用するとしても、自己資金は多めに用意しなくてはいけません。運転資金も必要ですので、今の段階から計画的に貯めておきましょう。
肛門科の開業医の年収は、下が2,000万円前後、上が5,000万円前後と大きな開きが生じています。中央値は3,500万円ほどですが、数千万円の違いがあることに注意が必要です。
一般的な開業医の年収は、2,400〜2,500万円ほどと言われています。肛門科の開業医の場合、一般的な開業医の年収を下回るケースもあります。しかし、全体で見れば高水準であり、平均よりも高年収が期待できます。
参照元:PHCメディコム株式会社/肛門科で失敗しない開業ポイント・年収や開業資金も解説/https://www.phchd.com/jp/phcmn/service/column/article516
2023年01月17日時点
参照元:日本医師会/地域医療情報システム肛門科を開業する際は、患者さんが通院しやすい立地を意識しましょう。患者さんにとって通院しやすさは重要で、クリニックの集患力に影響します。そのため、場所が分かりにくかったり、駅やバス停から遠かったりすると、患者さんの足が遠のいてしまう可能性があります。駅から徒歩数分で通える場所や、幹線道路沿いで目立つ場所など、患者さん目線で通いやすい場所を選びましょう。
ニーズも重要です。クリニックを開業するエリアにおいて、肛門科のニーズが見込めなければ開業後の集患で苦労します。開業候補地を選んだら、ニーズの有無を入念にリサーチしておきましょう。ただ、近隣に肛門科や併科したクリニックがあると、競合が起きてしまいます。患者さんの取り合いも起こりかねないため、競合の少ない立地が望ましいでしょう。
内装も患者さんを意識したレイアウト・デザインが求められます。安心して治療を受けてもらえるように、清潔感あるデザインを前面に出しつつ、リラックスできる環境を整えましょう。ただし待合室だけでなく、診察室やトイレに至るまで、清潔感・安心感が必要です。間口を大きく取るなどして圧迫感を少なくし、ゆったり過ごしてもらえる配色を取り入れましょう。
患者さんの導線も考える必要があります。入り口から受付、待合室から診察室へと至る導線は、分かりやすい配置を心がけましょう。バリアフリーへの対応も重要で、段差は極力減らし、手すりやスロープを設置することが求められます。
ただ、入り口から診察室まで一直線に配置すると、中が丸見えになって患者さんが落ち着けません。観葉植物やパーティションで外からの視線が気にならないようにするなど、クリニックを利用する患者さんへの配慮が必要です。
スタッフの採用は、スケジュールをしっかり決めて対応することが重要です。募集開始からスタッフ育成まで、数ヶ月かかる場合もあるため、採用計画は早めに立てておきましょう。
はじめに採用予定人数と職種を決めたら、雇用形態や賃金を設定する必要があります。雇用形態は正社員やアルバイト・パートなどさまざまですが、社会保険の有無や待遇に関わります。慎重に決めましょう。
面接日時のセッティングにも注意する必要があります。応募者の中には、応募時点で他のクリニックで働いている方もいます。勤務の都合上、時間を確保しづらい方もいるため、面接日時は予備日もセッティングしておきましょう。そのため、採用活動中は面接を担当する自分自身も時間の確保とスケジュールの調整が必要になります。
クリニックの集患や売上に関わるマーケティング。診療圏調査など市場の分析はもちろん、クリニックの立ち位置や集患・宣伝方法を考える必要があります。コンサル会社に相談しつつ、自分自身で取り組んでみるとよいでしょう。
診療圏調査は、クリニックの診療圏内にある競合の有無や診療科のニーズ、人流などを分析する調査です。競合が少なく、ニーズが多いほどクリニックの集患力は高まり、多くの患者さんに通院してもらえます。経営に関わるため、入念に調査しましょう。
また、クリニックの立ち位置は自院の特徴に関わります。どのような強みがあるのか分析し、患者さんにアピールしていきましょう。
宣伝方法はクリニックの知名度に影響します。新聞の折込チラシからインターネット広告まで、さまざまな宣伝方法があります。ただ闇雲に広告を打つのではなく、診療圏のニーズや競合を考慮して決めることが重要です。
駅前に開業したクリニックの事例です。優しい医療と日帰り手術を前面に打ち出し、内視鏡と肛門科領域をメインに診療を行っています。開業以来、外来には1日100人を超える患者さんが訪れ、内視鏡検査も1日数十件ペースで回転するなど、地域内で有数の規模に発展しています。
ここまで成功できた理由は、開業時に立地と設備投資にこだわったことが影響しています。また、クリニックのコンセプトを明確にした戦略が功を奏し、多くの患者さんを獲得したことも成功の理由といえます。競合が多数いる中で成功した典型的な事例ですが、参考にできる点も少なくありません。
参照元:クリニック経営.com/湘南藤沢おぬき消化器クリニック(https://byoin-clinic-keiei.funaisoken.co.jp/internalmedicine/coverage/coverage41/)
肛門科は単科で開業するケースが珍しく、重複診療科での開業がほとんどです。安定経営のためには、手術や外科的処置に対応し、高収益体制を整える必要があります。反対に競合は少ないため、診療圏によっては多くの患者さんに利用してもらえるでしょう。
ただし、クリニックの開業を自分自身のみで進めるのは大変です。開業の相談から開業後のサポートまで対応した、開業コンサルタントに相談してみるのもよいでしょう。
クリニック開業を目指すのであれば、開業エリアを検討するための診療圏調査と開業作業に併走してくれる開業コンサルタントが欠かせません。そのため、クリニック開業を考えるのであれば最初に「診療圏調査を無料で提供しているコンサルティング会社数社をピックアップし、問い合わせをすること」が必要になります。信頼できる大阪のコンサル会社を紹介してますので、是非チェックしてみてください。
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大阪で開業に向けた
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開業物件の情報を
全国規模で提供
2022年1月31日時点で、「クリニック開業 大阪」「医院開業 大阪」とGoogle検索して表示された40社の中から、本格的な診療圏調査を無料で提供している会社の内、大阪に本社もしくは支店を持つ3社を、以下の理由により選出。
・メディカルシステムネットワーク:該当企業の内で唯一、自社で独自にクリニックモールを展開している。
・北浜医療総合経営:該当企業の内で唯一、大阪でのクリニック開業支援を専門的に行い、医業承継の事例を掲載している。
・YS‘Journal:該当企業の内で唯一、全国規模での開業物件サイトを運営している。