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豊中市でクリニックを開業する

豊中市のクリニック開業傾向

400施設を超える一般診療所がある都市

豊中市は大阪市に隣接する北摂地域の中核都市で、阪急宝塚線、北大阪急行、大阪モノレールなどの交通網が整備されています。住宅地として発展してきた地域が多い一方、豊中駅周辺、千里中央、庄内など、エリアによって人口構成や街の特徴が大きく異なります。

2026年8月時点で大阪府が公表している最新の市町村別詳細データである「令和5年医療施設調査」によると、豊中市には430施設の一般診療所があります。地域住民にとって身近な場所で医療を受けられる環境が整っている一方、新規開業では既存クリニックとの競合を考慮する必要があります。

開業候補地を検討する際には、市全体のクリニック数だけで判断するのではなく、駅や町丁目単位まで範囲を絞り、人口構成、競合する診療科、交通手段、患者の生活動線などを確認することが重要です。

豊能二次医療圏は「外来医師多数区域」

豊中市が属する豊能二次医療圏は、大阪府の第8次医療計画において「外来医師多数区域」に位置付けられています。外来医師偏在指標は118.8で、全国335二次医療圏のうち64位となっています。

そのため、「クリニックが多いから医療ニーズも高い」「診療科の施設数が少ないから開業しやすい」と単純に判断するのではなく、地域で必要とされている医療機能や既存クリニックとの役割分担まで確認することが重要です。

また、2026年4月からは医療法改正による「外来医師過多区域」の新たな仕組みも始まっています。外来医師過多区域として指定された地域で無床診療所を新規開設する場合には、開設6か月前までの事前届出などが必要となるため、開業時点の大阪府による最新の区域指定状況を確認しましょう。

高齢化と地域差を踏まえた診療圏調査が重要

豊中市では高齢化が進んでおり、2025年4月1日時点の市全体の高齢化率は25.8%です。ただし、地域による差が大きく、庄内南小学校区では40.1%、北緑丘小学校区では35.2%である一方、桜井谷東小学校区では18.4%、寺内小学校区では18.9%となっています。

同じ豊中市内でも、子育て世帯が比較的多い地域と高齢化が進んでいる地域では求められる医療が異なります。内科、小児科、整形外科、在宅医療など、診療科や診療内容を検討する際には、開業予定地周辺の年齢構成まで確認することが重要です。

豊中市の主な診療科ごとのクリニック数(2026年時点の最新公表データ)

2026年8月時点で大阪府が公表している最新の市町村別詳細データは、令和5年10月1日現在の「令和5年医療施設調査」です。豊中市の一般診療所について、主な診療科目の施設数は以下の通りです。

なお、上記は一般診療所が標榜する「診療科目延数」です。1つのクリニックが複数の診療科を標榜している場合、それぞれの診療科に計上されるため、診療科別の数を合計しても一般診療所430施設とは一致しません。

内科が245施設と最も多く、小児科、整形外科、リハビリテーション科なども多く標榜されています。一方、施設数が少ない診療科だからといって、必ずしも開業余地が大きいとは限りません。診療科ごとの患者数や受診圏、年齢構成、病院との機能分担なども異なるため、開業予定地周辺の競合状況と医療需要を合わせて分析することが重要です。

豊中市で開業エリアを選ぶときの考え方

阪急豊中駅周辺:駅利用者と地域住民の双方を意識する

阪急豊中駅は、2025年の1日平均乗降人員が43,227人の阪急宝塚線の主要駅です。駅には商業施設「エトレ豊中」が直結し、周辺には商店、飲食店、住宅などが集まっています。

豊中市では2021年に「豊中駅周辺再整備構想」を策定し、2026年3月には、これまでの検討を踏まえて今後取り組むべき方向性をまとめた「豊中駅周辺再整備構想の実現に向けて」を公表しています。2026年には道路空間の活用などについても検討が進められています。

駅利用者を取り込みやすい立地である一方、駅周辺には既存のクリニックも多数あります。開業する際には、駅からの患者動線や同一診療科の分布、診療時間、予約方法などを比較し、通院しやすさを設計することが重要です。

千里中央・新千里エリア:大規模な再整備が進むエリア

千里中央は、北大阪急行と大阪モノレールを利用できる交通拠点で、周辺には商業施設、マンション、医療機関、公共施設などが集まっています。

2026年現在、千里中央地区では大規模な再整備に向けた検討が進められています。旧セルシーは2025年8月から解体が進められているほか、千里阪急ホテルも2026年8月から解体工事が開始されています。豊中市は商業・業務・宿泊機能などを備えた新たな大規模施設の整備を促進しています。

今後、街の構造や人の流れが変化する可能性があるため、開業を検討する場合は現在の人口・競合だけでなく、再整備後の生活動線や新たな施設計画についても確認するとよいでしょう。

蛍池・空港周辺:鉄道の乗換拠点としての利便性

蛍池駅は阪急宝塚線と大阪モノレールが接続しており、大阪市方面だけでなく大阪国際空港方面へのアクセスにも優れています。駅周辺には住宅地も広がっているため、駅利用者だけでなく地域住民の医療需要も考慮した診療圏調査が必要です。

駅近物件では徒歩での来院が中心となる一方、駅から離れた住宅地では自転車や自動車による来院も想定されます。候補物件ごとに患者の来院手段や昼夜人口を確認しましょう。

庄内エリア:地域ごとの高齢化率も確認

庄内周辺は住宅地や商店街などが広がる生活密着型のエリアです。また、豊中市の小学校区別データでは、庄内南小学校区の高齢化率が40.1%、庄内西小学校区が33.1%、庄内さくら学園校区が31.7%となっており、市平均を上回る地域もあります。

開業を検討する際には、慢性疾患への対応や通院負担を軽減する診療体制、必要に応じて在宅医療や地域包括ケアとの連携なども検討材料になります。

豊中市で考えたい在宅医療・訪問診療ニーズ

豊中市全体の高齢化率は2025年4月時点で25.8%ですが、地域によって高齢者の割合には大きな差があります。今後も後期高齢者人口の増加が見込まれることから、通院が難しい患者を支える在宅医療や訪問診療は、地域医療を考える上で重要な選択肢のひとつです。

ただし、豊中市全域で一律に在宅医療の需要が高いと判断するのではなく、候補地周辺の高齢者人口、既存の訪問診療クリニック、訪問看護ステーション、介護施設などの分布を確認しましょう。外来診療を基本としながら、地域ニーズに応じて訪問診療を組み合わせる方法も考えられます。

医療モールと戸建て(路面)開業のどちらが向くか

豊中市では豊中駅や千里中央、少路などを中心に医療モール・医療ビル型の開業物件がみられる一方、住宅地では戸建てや路面テナントで地域密着型のクリニックを開業する方法もあります。どちらが適しているかは、診療科、患者層、来院手段、必要な面積などによって異なります。

比較項目 医療モール/医療ビル 戸建て/路面テナント
認知・集患 他の診療科や調剤薬局との相乗効果が期待できます 独自に認知を広げる必要があります
運営の自由度 看板や診療時間、共用部などにルールが設けられる場合があります 院内動線や外観などを比較的自由に設計できます
費用 賃料や共益費などが継続的に発生します 建築・内装・駐車場などの初期投資が大きくなる場合があります
患者の来院手段 駅前や商業施設内では徒歩・公共交通との相性に優れます 駐車場を確保できれば自動車による来院に対応しやすくなります

「ターゲットとなる患者」「想定する来院手段」「診療科に必要な設備・面積」などを整理し、物件条件と合わせて比較しましょう。

開業前に行いたい競合チェックリスト

豊中市は駅前、ニュータウン、住宅地など地域によって特徴が異なります。開業候補地を絞り込む際には、同じ診療科の施設数だけではなく、競合クリニックがどのような診療を行っているのかまで確認しましょう。

競合医療機関が存在すること自体を避けるのではなく、既存クリニックが提供している医療と、地域で十分に提供されていない医療を整理することが重要です。

豊中市で検討できる開業モデル例

豊中市での開業モデルは、地域の人口構成や競合状況によって異なります。以下はあくまで検討例として、診療圏調査の結果に応じて組み合わせを検討しましょう。

継続通院を中心に据えたモデル

高齢者医療を意識したモデル

子育て世帯を意識したモデル

どのモデルが適しているかはエリアごとに異なります。診療科を先に決めつけるのではなく、「誰に、どのような医療を、どこで提供するのか」を診療圏調査と合わせて検討しましょう。

年齢構成から考えるターゲット設計のポイント

豊中市は小学校区によって年齢構成に大きな違いがあります。候補地を比較する際は総人口だけではなく、年少人口、生産年齢人口、高齢者人口の割合まで確認しましょう。

ただし、年齢構成だけで診療科を決めるのではなく、周辺の既存クリニックや病院の診療内容も合わせて確認することが重要です。

豊中市でのクリニック経営で意識したいポイント

豊中市には400施設を超える一般診療所があるため、開業後に患者から選ばれるためには、診療内容だけでなく通院しやすさや院内の利便性も重要です。

通いやすいクリニックづくりの例

競合の多いエリアでは、専門性だけでなく、予約方法、診療時間、アクセス、患者対応などを含めて「通い続けやすいクリニック」を設計することがポイントです。

豊中市でクリニックを開業するための準備

開業に必要な許認可と要件

診療所開設届・診療所開設許可申請

豊中市で診療所を開業する場合、豊中市保健所への手続きが必要です。医師が個人で開設する場合と、医療法人など医師以外の者が開設する場合で手続きが異なります。

従来のページでは「開設届が受理されるまで診療できないため、開設前に提出する」としていましたが、医師による診療所開設届は開設後10日以内の届出です。一方、医療法人など非医師が開設する場合には事前の許可が必要です。

豊中市では診療所の新規開設者向けの手引きを用意しており、図面等について事前相談を求めています。内装工事や開業日を決定する前に、豊中市保健所へ相談しておくとよいでしょう。

保険医療機関指定申請

健康保険を利用した保険診療を行うには、診療所の開設手続きとは別に、近畿厚生局へ保険医療機関指定申請を行う必要があります。

指定申請には締切日が設けられているため、希望する開業日から保険診療を開始できるよう、開業スケジュールから逆算して準備しましょう。また、2026年4月以降は保険医療機関の管理者要件や外来医師過多区域における手続きなどの制度変更も行われているため、申請時点の最新情報を確認する必要があります。

地域医療への協力も確認

豊能二次医療圏は外来医師多数区域に位置付けられており、大阪府では新たに一般診療所を開設する医師に対し、地域医療への協力に関する意向を確認する取り組みを行っています。

休日・夜間診療、在宅医療、学校医、予防接種など地域で必要とされる医療について、開業後にどのような形で協力できるかも検討しておきましょう。

その他の届出・申請について

診療所の設備や診療内容によっては、開設手続きのほかにも申請・届出が必要です。病床を設置する場合や構造設備を変更する場合、診療用エックス線装置などを設置する場合など、それぞれ必要な手続きを確認しましょう。

クリニックの開業までの流れ

クリニック開業までの大まかな流れをご紹介します。

  1. クリニックの構想・事業計画を策定する
    診療方針や対象患者、クリニックの特徴などを明確にします。想定患者数や診療単価、固定費などを踏まえた収支計画も作成します。
  2. 診療圏調査・物件の選定
    人口、年齢構成、競合医療機関、駅や道路からのアクセス、住宅開発などを分析して開業エリアを選定します。豊中市では地域によって人口構成が異なるため、町丁目や駅単位で調査しましょう。
  3. 資金の調達
    物件取得費、内装工事費、医療機器費、人件費、広告費、運転資金などを積算し、必要な資金を算出します。その上で金融機関へ融資を相談します。
  4. 医療機器・内装レイアウトを決定する
    医療機器を選定するとともに、患者とスタッフの動線を考慮して院内レイアウトを設計します。大型機器を導入する場合は搬入経路や電源、床荷重なども確認します。
  5. 税理士・社会保険労務士などを選定する
    税務・労務を外部へ委託する場合は、医療機関の支援実績なども確認して専門家を選定します。
  6. 必要な申請・届出を行う
    豊中市保健所への開設手続きや近畿厚生局への保険医療機関指定申請などを行います。必要な手続きと締切日を一覧化し、開業日から逆算して進めましょう。
  7. スタッフ採用・研修・集患準備
    看護師や医療事務などを採用し、電子カルテや予約システム、院内オペレーションなどの研修を行います。ホームページや地域への周知などの集患準備も並行して進めます。
  8. 開業
    設備、人員、行政手続きが整ったら診療を開始します。開業後も患者数や診療内容、収支などを確認しながら運営を改善していきましょう。

豊中市の人口数・推移予測

豊中市が公表している2026年7月1日現在の推計人口は、397,742人、世帯数は184,215世帯です。

ただし、この月次推計人口は2020年国勢調査の確定人口を基準に算出されています。一方、2025年10月1日に実施された令和7年国勢調査の大阪府速報集計では、豊中市の人口は404,479人となっており、2020年国勢調査の401,558人から2,921人増加しました。2026年9月頃に確報値の公表が予定されているため、その後、人口統計が見直される可能性があります。

将来的には人口減少が見込まれており、豊中市の将来人口に関する資料では、2030年約39.6万人、2040年約38.2万人、2050年約36.7万人と推計されています。特に生産年齢人口は減少する一方、65歳以上人口は2050年に約12.3万人まで増える推計となっています。

なお、豊中市では令和6年度までの人口実績を反映した新たな人口推計も進めており、2026年10月頃に令和7年国勢調査結果を反映した将来人口を確定する予定としています。開業計画を策定する際には、最新の人口推計も確認しましょう。

豊中市のクリニックモールやクリニックビルの事例

クリニックステーション豊中本町

阪急宝塚線「豊中駅」から徒歩3~4分のアクロスキューブ豊中2階にある「クリニックステーション豊中本町」。駅からアクセスしやすく、同じ建物にはフィットネス施設や認可保育園なども入居しています。

2026年時点では内科・循環器内科、小児科・アレルギー科のクリニックと調剤薬局が入居しています。また、医療モール内には新たなクリニック向けの募集区画も掲載されています。

クリニックステーション豊中少路

大阪モノレール「少路駅」から徒歩3分程度のJMLクリニックビル豊中にある医療モールです。駐車場も用意されており、徒歩だけでなく自動車による来院にも対応しています。

2026年時点では、内科・脳神経内科、皮膚科、整形外科・リハビリテーション科・リウマチ科などのクリニックが入居しています。

千里レジデンスメディカルモール

北大阪急行「千里中央駅」から徒歩圏にある「ザ・千里レジデンス」2階の医療モールです。千里中央駅からアクセスしやすく、周辺には商業施設や住宅が集積しています。

2026年時点でも、内科、眼科・皮膚科、整形外科・リハビリテーション科、小児科、耳鼻咽喉科、歯科など複数の診療科が診療しています。

豊中市で注目したいエリア

阪急豊中駅

阪急宝塚線「豊中駅」は2025年の1日平均乗降人員が43,227人で、大阪梅田方面へのアクセスにも優れた豊中市の主要駅です。駅にはエトレ豊中が直結し、周辺には商店、飲食店、住宅などが集積しています。

また、豊中市では「豊中駅周辺再整備構想」に基づくまちづくりを進めており、2026年3月には今後の整備の方向性を整理しています。2025年には地域住民や事業者、行政がまちづくりを進める「とよなかベース」も設立され、駅周辺の道路空間や賑わいづくりについて検討が進められています。

一方、豊中駅周辺には既存クリニックが集積しています。特定の診療科が「不足している」と施設数だけで判断するのではなく、駅周辺の同一診療科、専門領域、診療時間、患者動線などを確認した上で開業計画を立てることが重要です。

クリニック開業を成功させるために

豊中市は約40万人規模の人口を有し、一般診療所も400施設を超える医療環境が整った都市です。また、豊能二次医療圏は外来医師多数区域に位置付けられているため、新規開業では既存医療機関との競合や地域で必要とされる医療機能を十分に把握する必要があります。

一方、市内には子育て世帯の割合が比較的高い地域から高齢化率が40%を超える地域まであり、医療需要はエリアによって異なります。人口、年齢構成、競合クリニック、患者の生活動線、将来人口などを組み合わせた診療圏調査を行い、開業予定地に適した診療内容を検討しましょう。

物件選定、資金調達、行政手続き、採用、集患など開業準備には幅広い専門知識が必要です。必要に応じて、大阪・豊中エリアの開業事情に詳しい専門家へ相談しながら準備を進めることも選択肢のひとつです。

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