大阪で循環器内科クリニックの開業を目指すドクターに向けて、覚えておきたいポイントをお伝えします。
循環器内科のクリニックを開業する最大のメリットは、何といってもそのニーズの高さにあります。
循環器系疾患や生活習慣病の増加、深刻化などの影響によって、循環器内科の需要は高まりを見せる一方です。
一度ついた患者さんが他のクリニックに流れることが少ないので再診率も高く、患者数の季節変動も少ないのも循環器内科の強みです。
うまく軌道に乗れば安定した経営を行なっていけるでしょう。
ただし、経営が軌道に乗るまでに時間がかかるのも循環器内科の特徴です。
特に「落下傘開業」の場合は患者さんが定着するまでに時間がかかるので、経営的に立ち上がりが弱いということを覚悟しておきましょう。
また、設備面では一般内科のクリニックに必要な医療機器に加えて、比較的ハイスペックな超音波検査装置や血圧脈波検査装置なども必要です。
心臓リハビリテーションを行なう場合は装置導入やスタッフ確保の問題もあります。
このように、初期投資が高くなるのも循環器内科のデメリットかもしれません。
高齢者を中心に診療する場合は、駅近や住宅街など分かりやすい立地を選びましょう。また、駐車場が確保できるような場所もおすすめです。
競合する内科が近くにない場所を選ぶのも1つのポイントとなるでしょう。呼吸器内科や糖尿病患者などについては診診連携も検討すると良いですね。
循環器内科は何を診てもらえるのかが分かりづらい診療科の1つです。そのため、患者が定着するまでに時間がかかる傾向にあります。開業を成功させるためには、しっかりと認知してもらうことが重要です。
開業時には感染症や花粉症なども診療し窓口を広げるのも良いでしょう。また、ターゲットとして高齢者が多くなるため、視認性の良い看板、チラシなどで告知することも有効です。若い方や同伴者に向けてSNS広告を積極的に行うのもおすすめです。
循環器内科は再診率が高い診療科でもあるので、開業当初に積極的な宣伝を行いたいですね。
病院を選ぶ際にホームページを参考にする患者やその家族は多いため、ホームページの内容を充実させることもポイントです。
検索する際に「高血圧症」「不正脈」「息切れ」「足のむくみ」「親族 痛み」などの検索ワードでヒットするようにするのもおすすめです。また、患者でも分かりやすい言葉を選んで解説、トピックページを作成することも重要です。
循環器内科という専門医だからこそ専門的な診療・治療が行われることをアピールしましょう。
予約システムを整備することで、スタッフの診療予約負担・患者の待ち時間削減に繋がります。高齢者が多い循環器内科では予約システムの導入は簡単ではないかもしれませんが、地道なレクチャーを行うことで解決可能です。
大学医局から独立して開業するのであれば、人事異動のタイミング、つまり春先や秋口に開業するケースが多くなるでしょう。
循環器内科は季節変動の大きい診療科ではありませんが、とはいっても開業当初は季節や流行性疾患にかかわらず通院が必要な生活習慣病や慢性疾患の集患強化が必要です。
そう考えると、人々の生活スタイルに変化が訪れる時期である年度替わりの春先が、循環器内科開業のタイミングに合っているかもしれません。
一般的な循環器内科クリニックをテナント開業する場合、約9,400万円の開業資金が必要になります。
循環器内科は高額なX線撮影装置や超音波検査機器などを導入することが多いため、初期投資は標準よりもやや高めになりがちな診療科だといえます。
年収に関しては、一般的な内科開業医の平均が2,400万円といわれています。
診療体制や地域によっても異なりますが、高齢者が多いエリアでは循環器内科のニーズが多いため、それに伴って年収も高くなっていくでしょう。
大阪府内における循環器内科を標榜するクリニックは、内科系クリニックの中でも消化器内科と並んで非常に多くなっています。
したがって、地域ごとのニーズをしっかり把握するために詳細な診療圏調査を行なうことがクリニック開業の成功につながります。
とはいえ、そのような作業はドクターだけでは難しいでしょう。
開業支援だけではなく、開業後の経営までサポートしてくれる開業コンサルタントを、ともに歩むビジネスパートナーとして選ぶことが大切です。
参照元:日本医師会/地域医療情報システム循環器内科は、必要求人医師数と現員医師数の合計数である現員医師数に対する倍率が1.07倍となっており(※)、医師が不足していることを示しています。
また、医師が予測する20年後に需要が増える診療科として循環器内科は内科や呼吸器内科などに続き5位と高い結果になっています。今後も循環器内科の需要は広がると考えて良いでしょう。
日本全体で見ると、循環器内科西日本に多く東日本に少ない傾向にあり、埼玉県や千葉県、茨城県などの関東でも医師数が少なくなっているのが実情です。
循環器内科だけではなく、内科も標榜している場合には高齢者が中心となりますので住宅街でも駅近でも分かりやすい場所が望ましいです。また、できるかぎり患者に負担を与えない立地が適しています。
エレベーターがなく、階段のみでアクセスする建物より、1階、あるいはエレベーターが用意されている建物、あるいはエレベーターだけではなくエスカレーターまで用意されている商業施設も適しています。「どこにあるのか」という意味での立地ではなく、循環器内科に足を運ぶ患者が建物に到着後、院内まで足を運びやすい環境が整えられているのかという意味での立地が重要です。階段しかない建物の3階か4階にある循環器内科に足を運ぼうと思う患者は少ないでしょう。
車いすの患者もいるので廊下・通路の幅やバリアフリーを採用すると良いでしょう。また、エコー検査・X線検査を行うことから、診察室・検査室の動線を意識した内装が大切です。また、待合室は広めにしましょう。他の患者との距離が近く、呼吸に気を遣う等窮屈な状況で長時間待たせてしまうと、場合によっては呼吸系に異常をきたすなどのトラブルが発生するケースも考えられます。控室を広めに確保できない場合には、予約システムを導入するなど、患者が待合室でゆったりと過ごせる空間を意識しましょう。
お手洗いを広めに確保するのもポイントです。なぜなら、お手洗いで一息整える患者も多い点や、お手洗いで長時間の待ちが発生すると、ストレスから症状の悪化を招いてしまいかねませんので、お手洗いを広くとるか、あるいは別でパウダールームを確保しましょう。
看護師と医療事務スタッフのみを採用することになります。他の専門的なスタッフの採用は不要なので、採用のハードルはさほど高くはありません。地域の他の求人の条件をチェックし標準的な条件での求人でもスタッフを確保できますが、急いでいる場合には多少良い条件で求人を出すなど工夫が必要になります。
開業の数カ月前からでも十分に間に合いますが、地域によっては人材の確保が難しい場合もあります。その場合は自力でのスタッフ確保だけではなく、人材紹介会社を利用してみるのも良いでしょう。スタッフの必要人数は循環器内科の規模によって異なります。どれだけの患者の診療を想定しているかで変わりますので、計画に見合ったスタッフの確保を目指しましょう。
循環器内科を訪れる患者の多くは高齢者となっていますので、高齢者に訴求できるマーケティングが求められることから、WEBマーケティングよりはアナログなマーケティング手法が求められます。もちろんWEBコンテンツが不要ではありませんが、訴求力ではチラシや看板の方が有効です。例えば高齢者が多い場所への看板や、高齢者が比較的利用しやすい市営の施設への広告・チラシ等が有効です。
また、それらの施設へのバスの中の広告、あるいはラジオCMも有効です。高齢者の日常生活の中で訴求できる手法で存在を知ってもらうことで、実際に循環器内科のお世話になるときに選んでもらえる可能性もあります。WEBコンテンツに関しては、患者の家族に訴求できますので、自院の強みをアピールしておきましょう。
循環器内科だけではなく、内科を標榜したことでより多くの患者の獲得に成功したとの事例もあれば、高齢者に予約システムの操作を教えたことで診療予約制度を確立し、患者だけではなくスタッフの負担軽減を実践できたとの事例もあります。高齢者を相手にするので、WEBシステムの導入は難しいと考えられていますが、患者にシステム導入までレクチャーすることで実現したとのことです。
常に新患や初診、再診の数字を把握・測定することで自院の特徴を把握し、弱点を克服した事例もあります。初診はそれなりに多いものの、なかなか再診に繋がらないクリニックは接客応対の見直しを行うことで数字が改善したとのこと。また、初診率は低いものの再診率が高いクリニックでは、まずは知ってもらうべく、積極的な宣伝展開を行うことで初診率向上を実現したとのことです。
循環器内科の開業において、もっとも重要となるのはその立地です。分かりやすい場所にある、通いやすい場所にあるというのはもちろん、駐車場の確保、2階以上のクリニックであればエレベーターの有無についてもチェックしましょう。また、近隣に競合する内科などがないかを確認すると共に、必要に応じて診診連携をとることも考えます。
循環器内科は何を診ているか分かりづらい診療科であることを認識し、マーケティング・広告を上手に活用しましょう。更に、ホームページを充実させて患者が分かりやすい内容にする、患者が知りたい、気になるワード・トピックが引っかかるようにするよう意識したいですね。
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