遺伝子の異常や腎臓の炎症の他にも、糖尿病や高血圧といった生活習慣病によっても起こる腎不全。長年かけて腎臓にダメージが蓄積され戻らなくなった状態を慢性腎不全といい、日本では成人の約8人に1人が該当するといわれています。主に腎不全の患者様の透析治療にあたる人工透析内科は、多くの患者様にとって大きな救いの手となるでしょう。
ここではそんな人工透析内科を大阪エリアで開業しようと志す医師の方向けに、開業を成功させるポイントやタイミング、必要な資金などについてまとめています。
人工透析内科を開業し、成功させるにあたり、気を付けるべきポイントをいくつか挙げていきましょう。
まずは患者様に来ていただけるエリアかどうかを知るために、そのエリアの透析患者様の数を試算します。開業を想定しているエリア10km、20km圏内の患者数と、既存の医療機関の数や同様の診療サービスから、新規に獲得できる患者様の数を考えましょう。
腎不全は生活習慣病によるところも多く、透析の治療を受ける患者様はもちろん若い方もいらっしゃいますが、その多くが高齢者の方です。高齢になればなるほど通院自体が困難になりますし、他医療機関から症状悪化で紹介される場合も考えると、アクセスがし辛い場所では患者様の負担になってしまいます。理想的には駅から近い場所、とはいえ大通りに面した場所などでは賃料も上がってしまいますし、紹介などで新規の患者様が見込める場合は、通いやすければ裏通りなどでも良いでしょう。
また、他の医療機関、地域中枢病院や糖尿病、腎臓内科、高齢者福祉施設などから近い、アクセスしやすい場所であれば、紹介される患者様にとっても便利です。紹介する医療機関の視点からも、そのような立地にあれば、連携、協力してもらいやすくなるでしょう。
透析治療は一回の治療時間が長いので、治療の間患者様にどれだけ居心地良く過ごしてもらえるかが大きなポイントです。昨今では、フリーWi-Fiやテレビ、リクライニングベッドなどを導入している医療機関が増えてきました。治療を受ける患者様に少しでも快適に過ごしていただけるよう、できるだけ導入していくようにすると良いでしょう。
開業するタイミングですが、平均して30代後半から40代中盤で開業する医師の方が多いようです。ただ、若い時に開業すれば良かった、という人もいれば、もっと経験を積んでから開業すれば良かった、という人もいるため、一概にどちらがいいとは言えません。
どちらがいいか迷った時には、経験を積んでからの方が良かったとされる理由、例えば「患者様や周辺医師に若いと思われないか」「他医療機関や医局との人脈ができているかどうか」「1人で診療するのに技術的に不安がないか」などを考慮に入れたうえで判断すると良いでしょう。
人工透析内科では、検査機器が高額ということもあり、開業には多くの資金が必要です。費用を抑える場合には、診療範囲を限定することや、旧型の医療機器を導入することなどを検討すると良いでしょう。ただ、診療範囲が狭まれば広く診療している医療機関と比べて見劣りをしてしまいますし、旧型の機器を使用することも最新型を導入している医療機関と比べられてしまえば同様に見劣りしてしまうでしょう。費用とのバランスを検討しましょう。
※参照元:株式会社澤村/人工透析内科の開業に成功するには?(https://www.sawamura-shiga.co.jp/welfare/column/62/)
人工透析内科の年収はおよそ2,000万円から3,000万円が一般的とされていますが、これはエリア内の競合の有無や経験年数によるところもあります。また、勤務医よりも開業医の方が年収は高くなる傾向がありますが、開業医でも専門医院なのか、内科併設なのか、入院施設はあるのかなど、その診療形態によっては4,000万円の収入になることも。
ただし、開業に際する仮入が大きく見込まれるため、事業が軌道に乗るまでは先述の収入を得ることは難しいでしょう。
※参照元:メディコム株式会社/人工透析内科で失敗しない開業ポイント・年収や開業資金も解説(https://www.phchd.com/jp/phcmn/service/column/article517#)
※2022年12月時点の情報です。
※参照元:ドクターズファイルhttps://doctorsfile.jp/#escalation05
人工透析内科を開業するにあたっての立地のポイントとして挙げられるのは、まずは地域の透析患者数です。どれだけ腕に自信があるとしても、地域に透析患者がいなければ需要はありません。透析受療率と人口から透析患者数をある程度予測し、かつ周辺の既存透析クリニックのバランスを考え、新規での透析患者を獲得できる立地なのかを考えます。他の病院との連携も大切になるので、地域中核病院や糖尿病、腎臓内科からのアクセスも大切です。
これらを踏まえたうえで、患者のアクセスを考慮しましょう。透析は週に3回通院しなければなりませんので、透析患者は通いやすい立地を求める傾向にあります。乗換駅・ターミナル駅や駅近が適していますが、テナント料も高くなります。
内装で求められる点として、十分なスペースです。血液透析であればベッドが必要になりますし、腹膜透析であれば人がギリギリ通れる廊下では通行できない可能性があります。いずれもある程度広さを確保する必要があります。待合室も同様です。他のクリニックのように患者が座れるスペースだけを確保するのではなく、血液洗浄化装置のスペースが必要になります。
ある程度広く設定するか、広く設定するスペースがない場合には完全予約制を導入するなどして患者が密集するのを避けましょう。その点ではバリアフリーとまでは言いませんが、段差は極力避けましょう。段差があると血液洗浄化装置の移動の妨げとなってしまいます。
看護師や受付・医療事務スタッフを採用することになります。ポイントとなるのは実務能力よりも患者への応対です。人工透析の患者は足が不自由になってしまう高齢者も多いです。他のクリニック以上に、親身な姿勢が求められます。スタッフの応対も「クリニックの評判」となります。
例え自身が親身な姿勢で患者と向き合っても、スタッフが患者に対して高圧的だったり、不親切な応対を繰り返していてば悪い口コミが広がることとなり、患者を遠ざけてしまいます。採用するスタッフもまた、「自院の評判」を左右することになりますので、患者に対して真摯に応対できる人材なのかを見極めて採用しましょう。その点では友人・知人から紹介してもらう人材の方が安心感は高いです。
まずはエリアマーケティングです。地域に求められているのかを調査し、需要があるのであれば看板や広告といったアナログ的な手法から、WEBマーケティングまで幅広いマーケティングを実践します。知ってもらうことも大切ですし、興味を持ってくれた人に自院を説明することになるWEBサイトの拡充も重要です。
高齢者には看板や地元バスの車内広告といったアナログな手法が有効ですが、多少若い現役世代にはWEBマーケティングが重要です。また、高齢者を監護している若い世代が、高齢者のために人工透析を行えるクリニックを探すこともありますのでWEBマーケティングへの注力も重要です。リスティング広告はもちろんですが、口コミを参考にする方が多いので、良い評判を発してもらえるよう目の前の患者と真摯に向き合うことも大切な「マーケティング」の一環です。
地域の医療機関と連携することで収益を安定させている人工透析内科の事例があります。介護施設やケアマネージャーと連携することで、多くの人工透析患者のカバーに成功したとのことです。
現役世代を対象に絞ったことで成功した事例もあります。「幅広い人工透析患者」ではなく、あくまでも現役世代のみに特化。ターミナル駅前の好立地に開業し、夜遅くまで開業するなど仕事帰りに立ち寄ってもらえる環境を構築したことで、多くの患者を安定して獲得したとの事例もあります。他にも医師会に積極的に参加することで、医療従事者側に存在をアピールし、患者を回してもらうことに成功したとの事例や、ホームページを活用して患者との接点を作り、そこから実際に通院してもらうに至ったとの事例もあります。
大阪府内には多くの人工透析内科があり、すなわち競合も多いということが分かります。ですからなおのこと開業するにあたっては事前の調査や準備が重要になりますが、そのすべてを医師のみの力で行うことは非常に困難です。まずは気軽に開業コンサルタントに相談すると良いでしょう。適切なアドバイスで開業支援から開業後の経営サポートまでしっかりとスクラムを組んでくれる、信頼できるコンサルタントを探しましょう。
当サイトでも開業コンサルタントを紹介しておりますので、参考にしてみてくださいね。
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