府庁所在地かつ政令指定都市である大阪市は、近畿地方における経済・交通の中心地であり、西日本の医療を支える大都市のひとつです。
2026年8月時点で大阪府が公表している市町村別の最新の詳細データである「令和5年医療施設調査」によると、大阪市には3,734施設の一般診療所があります。人口10万人あたりでは134.8施設となっており、大阪府全体の101.2施設を上回っています。
診療所が多いことは患者にとって医療へのアクセスがしやすい一方、新規開業する医師にとっては競合する医療機関も多いことを意味します。大阪市での開業では、市全体の施設数だけではなく、開業候補地となる区や駅周辺まで範囲を絞り、人口構成や患者ニーズ、競合クリニックの診療内容などを確認することが重要です。
大阪市は一般診療所が多く、内科をはじめ、皮膚科、リハビリテーション科、整形外科、小児科など幅広い診療科が存在しています。一方で、単純に施設数が少ない診療科を「不足している」「開業の狙い目」と判断することはできません。
診療科によって患者が医療機関を選ぶ範囲や受診頻度が異なるほか、区ごとの年齢構成、昼間人口、住宅開発、周辺病院との役割分担などによっても医療需要は変わります。開業候補地を検討する際には、診療科別の施設数を参考にしながら、より細かな診療圏調査を行い、地域で求められている医療機能を確認することが大切です。
2026年8月時点で大阪府が公表している最新の市町村別詳細データは、令和5年10月1日現在の「令和5年医療施設調査」です。大阪市の一般診療所について、主な診療科目の施設数は以下のようになっています。
なお、上記は一般診療所が標榜する「診療科目延数」を集計したデータです。1つの診療所が複数の診療科を標榜している場合は、それぞれの診療科に重複して計上されるため、診療科別の数を合計しても一般診療所の総数とは一致しません。
内科は2,000施設を超えており、大阪市内で特に多く標榜されている診療科です。一方、診療科の施設数だけでは競合状況を判断できません。同じ内科でも消化器内科、循環器内科、糖尿病内科など診療領域は異なるため、開業予定地周辺にある医療機関がどのような患者層や疾患に対応しているのかまで調査することが重要です。
クリニックを開業する際には、医療法に基づく開設手続きをはじめ、保険診療を行うための指定申請など、複数の手続きが必要です。大阪市では、診療所の新規開設や移転、法人化を予定している場合、診療所所在地を管轄する各区保健福祉センター保健業務担当へ必要書類を提出します。
開設者が医師本人か、医療法人など医師以外の者かによって必要となる手続きが異なります。
従来のページでは「開設届が受理されるまでは診療行為を行うことができない」としていましたが、医師が開設する診療所の開設届は開設後10日以内に届け出る手続きです。一方、法人など非医師開設の場合は事前の開設許可が必要となります。開設者によって手続きが異なるため、物件や内装計画が固まった段階で管轄窓口へ事前に相談しておくとスムーズです。
健康保険を利用した保険診療を行うには、診療所の開設手続きとは別に、近畿厚生局へ「保険医療機関指定申請」を行い、保険医療機関として指定を受ける必要があります。
申請のタイミングによっては希望する開業日から保険診療を開始できない可能性があるため、開業スケジュールから逆算して準備しましょう。また、2026年4月以降は保険医療機関の管理者に関する要件など制度変更も行われているため、申請時点の最新情報を近畿厚生局で確認することが必要です。
クリニックの設備や診療内容によっては、開設手続き以外にも届出や申請が必要です。例えば、エックス線装置等を設置する場合には、各区保健福祉センター保健業務担当へのエックス線装置等に関する届出が必要となります。また、診療所に病床を設ける場合などには事前の許可申請が必要となるケースがあります。
大阪府・大阪市では、医科診療所の新規開設・変更手続きの際に「地域医療への協力に関する意向書」および「医療機器の共同利用に関する意向書」の提出協力を求めています。これらの意向書は医療法上の提出義務ではありませんが、休日・夜間診療、公衆衛生活動、医療機器の共同利用など地域医療の実態把握に活用されています。
2026年のクリニック開業で特に確認しておきたいのが、「外来医師過多区域」に関する新しい制度です。令和7年12月の医療法改正を受け、外来医師が特に多い地域では、無床診療所を新たに開設する際に、地域で必要とされる外来医療を提供する意向などについて事前届出を求める仕組みが設けられました。
大阪市二次医療圏は2026年に厚生労働省から外来医師過多区域の候補区域として示されており、大阪府では区域の指定や地域で特に必要とされる外来医療について検討が進められています。指定された区域で新たに無床診療所を開設する場合には、原則として開設日の6か月前までの事前届出が必要となる制度です。
大阪市で今後の開業を予定している場合は、物件契約や開業時期を決める前に、大阪府による区域指定や手続きの最新状況を確認しておきましょう。
クリニックを開業するまでの大まかな流れをご紹介します。
大阪市の推計人口は、2026年8月1日現在で2,818,354人、世帯数は1,604,021世帯です。年齢3区分別では、0~14歳が9.7%、15~64歳が65.7%、65歳以上が24.6%となっています。
かつての大阪市では長期的な人口減少が見込まれていましたが、近年は都心部への人口流入などによって人口が増加しており、以前の将来人口推計とは状況が変化しています。
大阪市が2024年の人口を基に行った新しい将来人口シミュレーションでは、2025年頃を人口のピークとして、その後は緩やかに減少し、2050年には約252万人になると見込まれています。2030年は約278万人、2040年は約266万人、2045年は約259万人という推計です。
ただし、市全体の人口が減少局面に入ったとしても、人口動向は区によって異なります。クリニックの開業地を選ぶ際には大阪市全体の人口だけではなく、候補地となる区や駅周辺の人口増減、年齢構成、住宅供給などまで確認することが重要です。
大阪市西区新町の阪急オアシス新町店2階には、複数の医療機関が入居するクリニックモールがあります。Osaka Metro西長堀駅から近く、スーパーマーケットと同じ建物内にあるため、地域住民の日常的な生活動線上に位置している点が特徴です。
2026年時点では、内科・消化器内科・外科・泌尿器科、耳鼻咽喉科・アレルギー科、産科・婦人科、整形外科などの医療機関が同住所で診療しています。
大阪市淀川区西宮原にある宮原クリニックモールは、Osaka Metro東三国駅やJR新大阪駅などからアクセスできる医療モールです。住宅や教育施設が立地するエリアにあり、複数の診療科が入居することで地域の幅広い医療ニーズに対応しています。
2026年時点では、小児科・アレルギー科、整形外科・脳神経外科・リハビリテーション科・リウマチ科、眼科などのクリニックが同モール内で診療しています。
大阪市東住吉区今川にある「クリニックモール今川」は、住宅地から駅や商業施設へ向かう生活動線上に立地する医療モールです。JR大和路線平野駅や近鉄南大阪線今川駅などからアクセスできます。
2026年時点では内科と整形外科が診療しており、3階には新たなクリニック向けの区画も募集されています。募集情報では皮膚科、小児科、耳鼻咽喉科、泌尿器科、心療内科などが募集診療科として挙げられています。
大阪上本町駅周辺は、近鉄大阪線・難波線などが利用できるほか、徒歩圏にOsaka Metro谷町線・千日前線の谷町九丁目駅があり、大阪市内各方面へのアクセスに優れています。駅周辺には百貨店、商業施設、ホテル、オフィス、学校、集合住宅などが集まり、居住者だけでなく通勤・通学者の往来も多いエリアです。
また、周辺には大阪赤十字病院をはじめとする医療機関が多数立地しているため、医療需要が見込める一方で、クリニック間の競争も考慮する必要があります。開業を検討する際には、「駅に近い」という条件だけでなく、診療科ごとの競合状況や居住人口、昼間人口、患者の移動範囲などを調査して判断することが重要です。
大阪上本町駅は大阪市天王寺区に位置する近鉄の主要ターミナル駅です。駅直結の近鉄百貨店や上本町YUFURAなどの商業施設があるほか、周辺には教育施設や医療機関、マンションも多く、商業・教育・居住機能が集積しています。
SUUMOが2026年7月10日に更新した、大阪上本町駅周辺の新築・駅徒歩1~5分の賃貸マンションの家賃相場は以下の通りです。なお、これは住宅の賃料相場であり、クリニック向けテナントの賃料相場とは異なります。周辺の居住環境を把握するための参考値として確認してください。
| ワンルーム | 9.3万円 |
|---|---|
| 1K | 9.4万円 |
| 1DK | 12.1万円 |
| 1LDK | 12.7万円 |
| 2K | 12.4万円 |
| 2DK | 15.0万円 |
| 2LDK | 22.6万円 |
| 3K | - |
| 3DK | - |
| 3LDK | 32.0万円 |
谷町九丁目駅は大阪市天王寺区に位置し、Osaka Metro谷町線と千日前線が交差する駅です。近鉄大阪上本町駅も徒歩圏にあるため、地下鉄と近鉄の双方を利用しやすい交通利便性の高いエリアです。
周辺にはマンション、飲食店、商業施設、教育施設、医療機関などが集積しています。大阪上本町駅周辺と一体的な生活圏を形成しているため、開業を検討する場合には谷町九丁目駅だけではなく、大阪上本町駅側も含めて競合医療機関や人口動態を確認するとよいでしょう。
SUUMOが2026年7月10日に更新した、谷町九丁目駅周辺の新築・駅徒歩1~5分の賃貸マンションの家賃相場は以下の通りです。こちらも住宅用物件のデータであり、クリニック向けテナントの賃料を示すものではありません。
| ワンルーム | 7.9万円 |
|---|---|
| 1K | - |
| 1DK | 10.2万円 |
| 1LDK | 13.0万円 |
| 2K | 11.6万円 |
| 2DK | 14.9万円 |
| 2LDK | 20.9万円 |
| 3K | - |
| 3DK | - |
| 3LDK | 38.8万円 |
大阪市は人口・医療機関ともに規模が大きく、多様な医療需要が期待できる一方、一般診療所が3,700施設を超える競争の激しいエリアでもあります。そのため、「大阪市だから患者が集まりやすい」「同じ診療科が少ないから開業しやすい」といった単純な判断ではなく、開業候補地ごとの医療需要を具体的に分析することが重要です。
診療圏調査では、人口や年齢構成だけでなく、競合医療機関の診療内容、駅からの動線、昼間人口、住宅開発、周辺病院との連携可能性なども確認しましょう。また、2026年以降は外来医師過多区域に関する新たな制度も進められているため、医療政策や開設手続きの動向を踏まえながら開業計画を立てる必要があります。
開業予定地の選定から資金計画、行政手続き、内装・医療機器、採用、集患までを一貫して進めるには、大阪の医療事情や開業支援に詳しい専門家へ相談することも選択肢のひとつです。
クリニック開業を目指すのであれば、開業エリアを検討するための診療圏調査と開業作業に併走してくれる開業コンサルタントが欠かせません。そのため、クリニック開業を考えるのであれば最初に「診療圏調査を無料で提供しているコンサルティング会社数社をピックアップし、問い合わせをすること」が必要になります。信頼できる大阪のコンサル会社を紹介してますので、是非チェックしてみてください。
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2022年1月31日時点で、「クリニック開業 大阪」「医院開業 大阪」とGoogle検索して表示された40社の中から、本格的な診療圏調査を無料で提供している会社の内、大阪に本社もしくは支店を持つ3社を、以下の理由により選出。
・メディカルシステムネットワーク:該当企業の内で唯一、自社で独自にクリニックモールを展開している。
・北浜医療総合経営:該当企業の内で唯一、大阪でのクリニック開業支援を専門的に行い、医業承継の事例を掲載している。
・YS‘Journal:該当企業の内で唯一、全国規模での開業物件サイトを運営している。