多くの経営者にとって悩みの種の1つとなっているのが、人件費です。ここでは、クリニック経営における人件費の問題をはじめ、人件費が適切かを確認するためのポイントや注意点、人件費対策となる医療DXについてまとめています。
新規開業するクリニックの激増や診療報酬のマイナス改定などにより、クリニックの経営環境は年々厳しくなっています。安定したクリニック経営を叶えるにはコスト管理が必須となり、なかでもコストの大部分を占める人件費を適切に管理することが重要です。
クリニックの開業当初は人件費の削減を目指して、少ない人員でも効率的に運営できる方法を考える必要があります。ただ、人件費の削減を優先し過ぎると品質の低下を招く恐れもあるため、人件費の削減は慎重に進めていかないといけません。
人件費が適切かどうかを確認するポイントは、「ほかのクリニックと比べて適切かどうか」「自院の収益構造として適切かどうか」の2つがあげられます。人的生産性を確認する際の基本的な人件費分析指標の項目は、以下の5つです。
人件費が適切かを確認するにあたり、人件費には給与や賞与、各種手当のほかに、法定福利費や福利厚生費、社宅費用なども含まれることに注意する必要があります。
人件費率とは、クリニックの収益のうち人件費が占める割合のことです。人件費に該当するものには、給与や賞与、各種手当、法定福利費、福利厚生費、通勤定期券、社宅費用などがあります。クリニックの経営において適正とされている人件費率は、収入の15%程度。たとえば年間収入が3,000万円のクリニックの場合、人件費にあてるのに妥当な金額は450万円になります。
労働分配率とは医院が生み出した付加価値のうち、人件費がどのぐらいの割合を占めているのかを測るものです。労働分配と経営能率が適正かどうかを分析できます。労働分配率は、「人件費÷限界利益(医業収入-変動費)×100」で算出することが可能。この計算式を使って、以下の条件の歯科医院の労働分配率を算出してみましょう。
【例】医業収入が4,000万、材料費300万、技工費450万、人件費が1,500万の歯科医院の場合
1,500万÷(4,000万-300万-450万)×100=約46%
労働分配率を改善したい場合は、「1人あたりの生産性(医業収入)を上げる」「医業収入に対する従業員の数を見直す」「従業員の給与を見直す」といった方法があげられます。ただ、労働分配率はクリニックの質に影響するため、労働分配率を見直す際は注意が必要です。
ほかのクリニックとの医業収益高を比べるよりも、従業員1人あたりの医業収益高を比較するほうが自院の効率の把握に役立ちます。人的な観点から生産性を見たい場合は、1つの目安として従業員1人あたりの医業収益高がどのぐらいか確認すると良いでしょう。
1人あたりの給与費はクリニックの給与水準を示すもので、クリニックの適正給与費の計画や従業員の個別給与を管理するうえでの基礎的なデータとなります。給与水準が高かったとしても、労働生産性と1人あたりの医業収益が大きければ優れた経営内容と言えるでしょう。
従業員1人あたりの月平均の限界利益を示すもので、生産性を分析するうえで最も重要な指標です。1人あたりの限界利益を高くすることができれば人件費への分配額もその分増やすことができ、労働分配率も適正水準を維持することが可能に。クリニックを経営するうえで、1人あたりの限界利益をどう増やすかが重要な課題となります。
人件費はコストの大部分を占めることから、人件費を抑えることで利益を増やすことができます。ただ、人件費を抑えようと給与を低く設定した場合、もっと条件の良い職場に転職しようと従業員が離職する可能性があります。従業員が離職すると採用活動に時間や費用をかける必要があるほか、人がなかなか集まらないということも…。
こういったリスクを避けるには、人件費を単なる固定費として捉えるのではなく、優秀な従業員を定着させるための投資と考えることも大切です。また、人件費を設定する際は、科目や開業するエリアによって人件費率の目安が異なるという点にも注意しましょう。
医療DXとは、保険・医療・介護に関する情報・データを活用し、病気の予防やより良い医療・介護を実現するために社会や生活を変える取り組みのことです。健康診断やカルテ、診療報酬などのデータを使ってオンライン資格確認や電子カルテ情報の標準化などを実施し、患者自身が病気の予防に取り組んだり、医療や介護の資源を効率的に活用できるようにしたりする仕組みづくりを行っていきます。
データを新たな薬剤や治療法の開発に役立てることも医療DXが目指す柱の1つです。
従来は電話や受付で診察の予約を行うのが一般的でしたが、DX化によって診療の予約やキャンセルをオンラインで手続きすることが可能に。患者の利便性が高まるのはもちろん、医師のスケジュール管理などもしやすくなり、無駄な時間やコストを抑えられるといったメリットもあり。また、オンラインで手続きできるようになることで無断キャンセルも減らせ、診療時間を効率よく回せる効果が期待されています。
オンライン診療はビデオ電話や電話などのツールを用いて自宅や職場にいながら受診できる取り組みで、新型コロナウイルス感染症の拡大によって急速に普及しました。通院の手間を省けるほか、医療機関の少ない医療過疎地でも専門的な診察を受けられることから、医療格差の是正にもつながるとされています。
各医療機関や介護事業者、自治体が保管しているレセプト・診療情報などのビッグデータを新しい薬や治療法の開発に活用する取り組みも行われています。各機関の情報を統合することで患者の健康課題がより明確化され、病気の早期発見につながるといったメリットも。情報の一元化によって治療方針も立てやすくなり、より良い医療や介護の提供で健康寿命の延伸にも貢献できると期待されています。
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