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一般外科を開業する

大阪で一般外科クリニックの開業を目指すドクターに向けて、覚えておきたいポイントをお伝えします。

一般外科を開業するメリット・デメリット

わが国が直面している超高齢化社会においてクリニックに求められているのは、病気の早期発見や健康維持へのアドバイスなど、いわゆる「かかりつけ医」としての役割です。

特に昨今は、介護まで見据えた全人的医療を提供できるクリニックが地域に不可欠です。

内科と同じく一般外科は幅広い診療領域、患者層を診ることができるので、お子さんから高齢者まで多くのニーズがあるでしょう。

しかし、外科をメインとした開業は難しいといわれています。

その理由は、患者さんが長期間にわたって継続して通院する必要があまりない診療科であるからです。

なので、ある程度の新規患者さんが継続的に来院してくれなければ経営が成り立たなくなります。

高い専門性や競合に勝てる強みを明確にし、それを広く地域住民に知ってもらう宣伝活動に力を入れなければなりません。

何かあったときに「外科といえばこのクリニック」、そう思ってもらえなければ経営的に厳しくなる可能性は大です。

成功する開業と失敗する開業のポイント

それぞれの診療科でもドクターにある程度の得意分野、専門分野があると思われますが、それは一般外科でも同様でしょう。

そこが市場性とマッチできれば開業は成功といえます。

特殊な分野に特化している場合は、高度な医療を求めて地方からも患者さんが訪れる都会で開業すべきです。

もちろん地方の場合なら専門性がなくても大丈夫というわけではありませんが、ある程度は総合的な診療を合わせて行わなければなりません。

当たり前の話ですが、ニーズの乏しいエリアで専門性を発揮しても、経営的な成功には結びつかないでしょう。

一般外科開業のタイミング

一般外科の場合、雪の多い地方であれば冬場に外傷の患者さんが増える傾向にありますが、大阪であればそれほど季節変動はなさそうです。

むしろ季節的な問題よりも、現在勤務している医療機関を円満に退職して開業できるタイミングを模索するべきでしょう。

開業してからも元の勤務先との良好な関係を維持できれば、紹介患者さんの数などで有利な開業を進めることができると思われます。

開業資金や年収の情報

一般的なテナント開業資金のサンプル

一般的な年収

一般的な外科のクリニックをテナント開業する場合、約7,800万円の開業資金が必要になります。

上記の数字における医療機器は一般的なX線撮影装置やPACS、高精細モニターなどを想定していますが、そこは競合先との差別化を図れるポイントでもあります。

戦略によってはさらに投資を要することもあるでしょう。

年収に関しては、一般的な外科開業医の平均が約2,000万円といわれています。

内科系の開業医よりも水準が低いように思われますが、専門特化の方向性がうまくニーズと合えば高額の年収も期待できるでしょう。

代表的な大阪府内の市での開業件数(外科標榜クリニック数)

大阪府内における外科を標榜するクリニックは、上記のとおり多数存在します。

しかし、内科系クリニックが専門分野のほかに一般内科を標榜するように、いずれのクリニックも何かしらの分野に特化しているケースが多いと思われます。

一般外科でも専門性と市場性のリンクを確かめるため、開業前の詳細な診療圏調査は欠かせません。

とはいっても、そのような作業はドクターだけで行なうのは無理があります。

開業支援から開業後の経営まで手厚くサポートしてくれる、信頼に足る開業コンサルタントを選ぶことが重要です。

参照元:日本医師会/地域医療情報システム

一般外科の雇用について

2018年の厚生労働省「医師・歯科医師・薬剤師統計」(https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/ishi/18/dl/kekka-1.pdf)によると、医師数全体は31万1,963人に対して4.4%程の外科は13,751人。内科60,403人、整形外科21,883人と比較すると少ない人数です。眼科が13,328人と同じくらいの人数でした。

一般社団法人日本外科学会では、専攻医全体に対する外科の採用者数が2020年から減少していることについて、課題として掲げています。2020年9.8%、2021年9.1%、2022年9.0%でした。専門医資格を取得するのに時間がかかるため、生涯労働期間が短くなること、勤務時間が長いこと、給与が見合わないこと、医療訴訟のリスクが高いことなどが外科希望者の減少につながっていると推測されています。(参照:一般社団法人日本外科学会「外科医希望者の伸び悩みについての再考」https://jp.jssoc.or.jp/modules/aboutus/index.php?content_id=68

一般外科の開業のポイント

立地

やはり「足を運びやすい場所」での開業がポイントとなります。一般外科に足を運ぶ患者は「日常生活の中で信頼できる一般外科」に通います。わざわざ遠くまで足を運ぶケースは稀なので住宅地でも問題ありません。もちろん駅前でもよいのですが、駅前はテナント料金が高く、かつ狭い物件が多いので駐車場の確保が難しいです。

それなりに実績を挙げた後であれば候補に入れてもよいのですが、開業時としては多少駅から遠いとしても駐車場があれば十分にカバーできます。その点では立地はさほど大きな影響がありません。多少アクセスが悪いとしても、勤務医時代にて培った近隣の医院とのネットワークによる医療体制を構築した方が、結果手として患者にもメリットをもたらすことになります。

内装

内装のポイントなるのは衛生性と清潔感です。外科の場合、不衛生な環境は症状の悪化を招きかねません。クリニックが不衛生では、患者からの信頼を獲得することが難しいので、デザイン性よりも衛生面に配慮しましょう。その点では清潔感を演出しやすい白を基調にしたカラーリングが無難です。また、待合室も広めに確保したいところです。多くの患者の診察を行うことになれば、患者を待たせてしまうことになります。

広い待合室を確保できないのであれば予約システムを導入するなどして、より多くの患者を診察できる環境を構築しましょう。秘匿性を求められる診療科目ではありませんが、女性の場合、治療箇所によっては秘匿性が求められますので、パーテーションを設置するか、カーテンを用意していつでも患者の姿を隠すことができるよう工夫しましょう。

採用

看護師と医療事務スタッフを採用することになります。決して高度なスキルを求められるお仕事ではありませんので、新卒・未経験者でも問題はありませんが、人出不足が顕著となっていますので、スタッフを確保するためには早めに動いた方がよいでしょう。

地域によってはスタッフの確保の難易度が高まっていますので、自力での確保が難しい場合には人材紹介会社の利用も視野にいれた方が良いでしょう。また、確保できたとしても離脱リスクがあります。長く働いてもらいたいのであればスタッフとのコミュニケーションはもちろんですが、スタッフの労働環境や福利厚生を定期的に見直す等、スタッフが「働きたい環境」を作り続けることが大切です。

マーケティング

一般外科に足を運ぶ患者は、遠くてもよいので質の良いクリニックをと考えているのではなく、日常生活圏の中で信頼できる一般外科を探す傾向にあります。そのため、WEBマーケティングだけではなく、アナログなマーケティングも重要です。通学路や通勤路の看板広告、地元バスの車内広告など、「地元の人間」にとって身近で、よく目にする場所への広告が有効です。WEBコンテンツに力を入れることも重要です。

存在を知ってもらうことも大切ですが、ふと気になって検索をかけてくれたり、一般外科のお世話になるときにふと頭の中に浮かんだ医院を調べたりなど、必要な時に足を運んでくれるきっかけとなります。そこで「ここにしよう」と思われるよう、強みをアピールしておきましょう。

成功事例

開業当初は費用を抑えつつ、地道に患者の診療を行うことで地元で評判となり、多くの患者が足を運ぶようになった成功事例があります。決して大々的なプロモーションを行ったのではなく、目の前の患者の声に耳を傾け、満足をもたらすことで「あの外科は良かった」との口コミが広まったとのこと。

また、それまで駐車場を用意していなかったものの、数台分ではあるものの駐車場スペースを用意したことで患者が増えた成功事例もあるようです。一般外科の場合、生活圏の中で通える外科を探すとともに、保護者やパートナーが車にて通院するケースもあることから、駐車場によって「通おう」と思われる一般外科の候補に入るようになったのでしょう。他にもネガティブな口コミにも真摯に応対することで、患者が増えた事例もあります。

まとめ

外科は医師の花形のように見えますが、実際は志望者が減少傾向です。原因として、外科の専門医資格を取得するまでの期間が長いことや労働時間の長さ、訴訟リスクなどがあり、「割に合わない」と考える医師が少なくないことが挙げられます。

また、外科は開業するケースも多くありません。手術のときだけの通院になるケースが多く、患者が繰り返し通うことが少なく、新規集患が大変だからです。総合病院などで他科とタッグを組む形での治療が外科向きと言えます。しかし、外科でも広域での集患を意識すれば開業は可能です。

開業の際、重要になるのは立地。ライバル調査をして、患者がアクセスしやすい場所を選ぶと良いでしょう。

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