眼科を開業するメリットのひとつは、老若男女問わず幅広い年代の患者さんをターゲットにできることです。
お子さんならプール授業に伴う結膜炎などの問題、学生ならコンタクトレンズの処方がありますし、高齢者は高い確率で白内障を発症します。
住宅地エリアからアクセスしやすい場所に開業すれば、幅広い年代の患者層を取り込むことができるでしょう。
その中でも、さまざまな理由での受診が予想される中年や高齢者の患者層をより重視したほうが、経営面では有利だと思われます。
一方、眼科を開業するデメリットとして挙げられるのは、やはり競合先の多さでしょう。
特に近年は眼科クリニックの開業が増えているので、ライバルと差別化できる特色を前面に打ち出せなければ経営の安定化は難しいと思われます。
患者さんは評判を耳にすれば、多少遠くてもそのクリニックを選びます。ただ単に人口が多く、近隣に眼科クリニックがない場所というだけでは生き残れるロケーションとはいえません。
眼科に通う患者は、目に疾患を抱えているため駅からのアクセスが良いなど立地条件が良いことが求められます。近隣に眼科があれば競合してしまうので、出来れば避けたいところです。
開業する眼科のコンセプトを決め、必要とする人が多い立地を検討するようにしましょう。
眼科はターゲットとなる年齢層が幅広いため、ファミリー層や高齢者の多い地域から考えるのもおすすめです。
クリニックの設備としては、手術を行うかどうかを決める必要があります。診察と手術を同時に行う場合は複数のドクターが必要となるため、ドクターの部屋も用意しなければいけません。
また、手術を行うのであれば手術室だけでなく前室リカバリー室などが必要となり、それに応じた設備・医療機器も用意することが求められます。
眼科は他の診療科よりも検査機械が多く、初期設備から新しい機器を導入することも考えられます。設備の追加・変更に対応できるようスペースや電源位置、LAN配線なども考慮したレイアウトにしなければいけません。
眼科はバリアフリー対応にすることが必須であり、照明の強さや掲示物の文字の大きさにも気を配りましょう。車いす患者も多いことを踏まえて、検査室を中心に動線を考えましょう。
手術に対応しない眼科を開業する場合、他院への紹介ができるよう連携を取っておくことが重要です。糖尿病など失明原因の要因として考えられる疾患を診察する内科との連携も積極的に検討したいところです。
また、眼科には眼鏡やコンタクトレンズの処方を求めてくるか患者も少なくありません。メガネ店やコンタクトレンズ会社との連携も考えておきましょう。
一般診療や検診などを行う一般的な眼科は、地域密着での広告が重要となります。レーザー治療など、金利に競合する眼科が無い場合は広い範囲での広告・宣伝を検討するのも良いでしょう。
また、高齢者はもちろん、結膜炎やコンタクト処方など、幅広い年齢層をターゲットとすることができるのも眼科のポイントです。マーケティングを行うときは、チラシや看板などに加えてSNSの活用やホームページを充実などの工夫も必要です。視力矯正手術など専門特化するものがあれば、積極的に宣伝しましょう。
患者数の季節変動という視点から考えると、春先は花粉症のシーズン、夏場はプールでの感染症患者が増える傾向にあります。
そうしたタイミングで開業時期を設定すれば、多くの初診患者さんを獲得できるかもしれません。
また、開業後の連携を考えると、それまでの勤務先を円満に退職できる時期を探るほうが重要という見方もできるでしょう。
一般的な眼科クリニックをテナント開業する場合、約7,900万円の開業資金が必要になります。
ただし、こちらは「手術なし」を前提とした数字です。手術の有無によって投資予算は大きく変動するため、開業前には慎重な方向性の検討が必要です。
年収に関しては、一般的な眼科開業医の平均が約1,500万円といわれています。
しかし、こちらも診療内容によって大きく異なり、中には5,000万円を超える収入を得ている眼科開業医もいらっしゃいます。
大阪府内における眼科を標榜するクリニックは、すべての診療科の中でも上位を占めるほど増えています。
特色を明確にしているクリニックも多く、そこで開業を成功させるためには診療圏調査、特にエリアの年齢分布の調査が重要になってきます。
こうした開業前の諸作業は、ドクターだけでは難しいと思われます。開業支援から開業後の経営までしっかりサポートしてくれる、ビジネスパートナーのような存在の開業コンサルティングを選ぶことが大切です。
参照元:日本医師会/地域医療情報システム眼科医は医師全体の5%ほどとなっており、都道府県別では東京都が最も多く人口1万に当たり1.8人の眼科医がいるようです。2位以下は京都府、徳島県、大阪府と西日本に多い傾向にあるのが分かります。
また、眼科医が最も少ないのは秋田県であり、人口1万人あたり0.6人と地域による差が大きい傾向にあります。
眼科を開業する際には、看護師や視能訓練士、検査アシスタントなどを雇用する必要があります。
注力する科目によって立地のコンセプトが異なります。例えばアレルギーやものものもらいといった一般的な外来、コンタクトレンズ、レーシックやICLといった近視治療、緑内障、白内障等、眼科も幅広い診療科目となっています。
一般外来のように多くの患者を相手にする診療科目を主にするのであれば駅近や商業施設の中など足を運んでもらいやすい立地が重要ですが、専門性が高い場合診療科目を主とする場合、評判が高まることで遠方から訪れてくれる患者も出てくるので駐車場を確保できる立地や新幹線停車駅、あるいは大きなターミナル駅の近くがおすすめです。このように「良い立地」は診療科目によって異なりますので、まずは何を診療のメインに据えるのかを踏まえ、想定されるターゲットを見越した立地が求められます。
まず求められるのがバリアフリーです。何らかの形で目に疾患を抱えている患者が通院します。見えにくいもの、陰に隠れている段差は患者にとって負担になりかねません。また、清潔感・衛生性も大切です。見た目の問題もありますが、目の疾患は空気の状態によって悪化してしまいます。例えば花粉症やアレルギー症状の患者の場合、院内の空気が不衛生では、通院する度に巣症状の悪化を招きかねません。
また、動線も重要です。検査室からの動線が、眼科ならではなのものとなっていますので眼科の設計経験のある設計士への依頼が望ましいです。動線は開業後には変更が難しい部分であり、かつ患者の負担・手間に直結するポイントとなっていますので軽視できません。他にも検査室への配線の数・容量も考慮する必要があります。
主たる診療科目によって採用するスタッフも変わるのですが、大きな力となってくれる視能訓練士の確保が難しいです。看護師と比較すると圧倒的に少ないので、人件費の問題よりもむしろ存在そのものがとても貴重です。看護師や医療事務スタッフは他のクリニックでも変わらない部分ですが、視能訓練士は眼科だからこそ必要な存在なのでどのように確保するのかを考える必要があります。
また、医療従事者としてのスキルも大切ではありますが、患者に対してどれだけ親身な姿勢で接することができる人間なのかも大切です。眼科は目に不安を抱えている患者ばかりです。目が見えにくい患者もいますので、他の診療科目以上に親切な応対が求められる点を踏まえての採用を行いましょう。
お伝えしているように、眼科は診療科目が広いことから、まずは「何を得意にしている眼科」なのかアピールすることが大切です。そのため、診療科目によって異なるターゲットを踏まえてのマーケティングが求められます。
例えばコンタクトレンズであれば若年層へのアピールが欠かせません。花粉症に力を入れているのであれば、花粉症の季節が到来する直前の積極的な宣伝も大切です。ポイントとなるのはWEBサイトです。眼科への通院を考えている患者は、病院の特性を見極めるためにホームページをチェックする傾向が強いので、WEBサイトを構築し、充実させることで訴求力が高まります。得意領域、導入している危機、強みを積極的にアピールすることが患者獲得に繋がります。
コナンタクトレンズ店の近くで開業し、上手く連携することで患者を増やした事例があります。コンタクトレンズ店との協力だけではなく、コンタクトレンズ店が提携している業者を紹介してもらうことで開業準備を整えたとの事例もあります。
自由診療の視力矯正手術に特化した眼科では、専門領域に特化している点を積極的にアピールするためにWEB上に広告を大量に出稿。また、実際に治療を受けた患者さんに実施したアンケートを「患者の声」としてアピールすることで患者から信頼を集めているクリニックとしての説得力を補完。新規の患者獲得に繋がったとのことですが、新しく獲得した顧客にも同様にアンケートを実践するなどどれだけの患者を獲得できたのか、満足してもらえるのかなどを数値化することで病院経営に役立てたとのことです。
眼科は目が不自由な患者が多いため、立地が重要なポイントとなります。バリアフリーであること、通いやすいことはもちろん、高齢者層やファミリー層などターゲットとする患者の分布なども考えた立地を検討しましょう。
眼科を開業する際には、手術を行うかどうかも大きなポイントです。手術を行う場合は院内レイアウトをしっかりと考える必要がありますし、手術に対応しない場合は連携する医療機関を検討しましょう。
また、患者のニーズを考えて眼鏡店やコンタクトレンズ店と連携をとることもおすすめです。
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