クリニック開業する際、「いつまでに退職を伝えれば良いの?」と悩む人もいるでしょう。ここでは、病院へ退職を伝えるタイミングや注意点などをまとめています。
あらかじめ「将来的に開業したい」と思っている場合は、意思が固まり次第就業先に報告すれば良いですが、具体的にいつ辞めるかを決めるには「賃貸借契約書の締結」と「銀行融資の承諾」の項目が重要となります。
賃貸借契約書の締結は、退職時にクリニックを開業するための物件が確定している必要があります。もちろん、賃貸借契約書を所有していなくても退職は可能ですが、退職してからスムーズに開業するために欠かせない書類です。
万が一開業物件が決まっていない場合、いつ開業できるかの目途が立ちません。一方で賃貸借契約が済んでいれば、そこから開業までの時間を逆算することでスムーズに開業できるでしょう。
また、事業を開始するには銀行の融資を受けるのも忘れてはいけません。もしも融資が受けられない場合、物件を持っていても開業は難しいため、あらかじめ融資の承諾を受けておきましょう。なお、この時点で融資を実行されている必要はありません。
クリニックを開業する物件が決まり銀行融資の承諾も得られたら、いよいよ職場に退職の意を伝えます。テナント開業の場合、物件が決まってから半年程度で事業を開始するケースが多いです。開業をサポートしてくれる業者の提示するスケジュールに沿って開業準備を行う可能性が高いため、スケジュール合わせて退職を伝えれば問題ないでしょう。
退職日を決定する際、「開業日」と「開設日」を間違えないよう気を付けなければなりません。開業日とは、診療を開始する日を指します。一方で、開設日は保健所へ提出する開設届出書に記載する日付のことです。
開業に必要な行政手続きとして、まず保健所に開設届出書を提出します。この時点で自費診療を開始できますが、保険診療を行うには毎月決まった日付までに地方厚生局へ開設届出書を提出しなければなりません。開設届の提出により翌月1日から保険診療が可能となります。
なお、開設届出書の提出期限は各厚生局で異なるため、事前に確認しておきましょう。また、開設届出書の提出時点で常勤医としては退職していなければならないため、開業する月の前月までに退職している必要があります。
就業規則や雇用契約書には、退職の通知に関する項目が設けられています。必ずしも全員が記載通りに行動しなければならないというわけではありませんが、どのような内容であるかは確認しておくのが重要です。
なお、雇用契約書に「退職から逆算して3か月前には通知しなければならない」などの記載があっても、開業が決まった時点で伝えるのが良いでしょう。
退職の相談がある場合は、事務長や労務担当に声をかけましょう。退職者の流れや事務的な内容であれば、事務方への確認で十分です。くれぐれも、いきなり院長や理事長に掛け合わないよう気を付けてください。
現在働いているクリニックが医療法人である場合や、自身が管理医師の場合は細心の注意が必要です。後任が決まりにくいうえ、院長をはじめとした管理医師は医療法人の理事になるため、契約書や就業規則に競業避止義務が記載されているケースがあります。この場合、開業する場所や診療内容などに配慮する必要があるため、スムーズに開業するには慎重な話し合いが重要です。
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