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クリニック開業に向けた事業計画書作成の流れ

事業計画書には、創業の動機や目的、創業に必要な資金や調達方法、事業の見通しなどを記載します。開業時に融資や出資などを受けるために必要となりますが、事業計画書の作成によってビジネスプランがわかりやすくなるなどのメリットがあります。

事業計画書作成の流れ

1.開業資金を見積もる

開業にあたって必要な初期費用を見積もります。初期費用には、物件費用や医療機器の購入費用、内装工事代、広告費やコンサルティング代などが挙げられるでしょう。

開業資金を見積もるために、まずは物件の決定を行います。テナントや集合医療施設テナント、自己所有などから自身のプランに合った物件を選びます。また、手術件数が多く予想される場合には、オペ室を設けることも検討しましょう。

また、医療機器の購入費や内装工事費、広告宣伝費なども必要です。依頼する業者によって費用や内容が異なることから、複数の業者に依頼し相見積もりを取ることをおすすめします。

2.支出を見積もる

開業後にどのくらいの支出が見込まれるのかを計算します。

支出項目には固定費と変動費があり、固定費には人件費や賃借料、リース料、水道・光熱費などが含まれます。また、消耗品費や通信費、医師会費なども固定費に該当します。とくに人件費は医業収入の20~25%ほどかかるといわれていますから、可能な限り正確な見積もりが必要です。正職員やパートといった人材をどのくらい採用すべきかは、診療コンセプトや予想患者数で決定しましょう。

一方変動費には、薬品代や診療材料費、検査外注費などがあります。診療科目や院外処方の有無などによって異なるため注意しましょう。変動費は、診療収入に対する比率を用いて予測できます。

3.医業収入を見積もる

自身が必要とする医業収入について見積もります。収入の見積もりは「1日の患者数」「診療単価(患者一人あたりの平均単価)」「診療日数」の3つの要素によって計算します。

なお、患者数は想定の内少ない場合と多い場合の両方で計算することをおすすめします。また、診療日数においては、1年間で何日営業するのかを決定する必要があります。休診日や夏季休暇、年末年始休暇などを考慮したうえで、診察に割り当てられる日数を計算しましょう。

なお、必要な医業収入は、月々の返済額や手元に残したい金額、開業後の運転資金などを考慮します。もしも医療収入が不足する場合は、開業資金や支出を見直す必要があるでしょう。

4.資金繰り表を作成する

資金繰り表とは、一定期間における現金の収入や支出を記入した管理表のことです。資金繰り表には、「開業時に用意できる運転資金」「毎月の支出」「毎月の診療収入」「月末の運転資金残高」を記載します。

いくら支出や収入を見積もっていても、開業後に資金繰りが困難になるケースは少なくありません。資金繰りが難しくなれば、追加の融資が必要になってしまうでしょう。資金繰り表を作成することで、安定した経営を実現できるようになります。

5.開業日までのスケジュールを作成する

開業までのスケジュール作成も重要なポイントです。開業にあたって、準備すべきものは多くあります。物件の選定から必要な医療機器の決定、内装工事、スタッフの採用などがあることを考えると、2年ほどの準備期間が必要でしょう。

スケジュールは開業日から逆算して作成し、いつまでに何をすべきなのかを明確にしておくことが大切です。

クリニック開業のための事業計画書の書き方

数字はできるだけ正確に書く

事業計画書に書く数字には、「資金調達方法」や「初期費用」、「固定費」「損益分岐点」などがあります。完璧なプランを立てる必要はありませんが、可能な限り正確で具体的な数字を記入することが大切です。

言葉は明確に伝わるように書く

事業計画書に言葉で書く内容としては、「コンセプト」や「経営理念」、「医師を目指した理由」などが挙げられます。

「なぜこの場所でクリニックを開設したいのか」「どのような診療を行い、地域に貢献しようと考えているのか」など、自身の思いを言葉にしなければなりません。思いを言葉にすることは簡単ではありませんが、自身の構想が他者に伝わるよう言葉で表す必要があります。

費用の見積もり方は?

クリニック開業にあたって、必要な資金を把握しましょう。物件費用や医療機器購入費、人件費などさまざまな支出が想定されます。開業のために借入したお金は開業後も返済していかなければなりませんから、余裕をもって返済できるプランが必要です。

たとえば、返済に余裕のないプランになってしまう場合は、支出を見直すか、もっと収益を得られそうな土地での開業を検討すると良いでしょう。とくに収入については楽観視せず、計画を下回った場合でも返済できるようにしておくことが大切です。

事業計画書作成の注意点は?

事業計画書の作成においては、シビアな見積もりを行うことが大切です。とくに1日の患者数や診療単価、診療日数については、現実的な見積もりとなるよう慎重に判断しましょう。もしも開業後に見積もりを大きく下回った場合、経営が困難になることが考えられます。

また、過大投資にも注意。開業の際はついさまざまな設備に投資してしまいがちですが、初期投資はなるべく抑えるのが鉄則です。負債や経費は見積もりを下回ることはほとんどないため、過大投資には気をつけましょう。

なお、事業計画書の作成を行った結果、「余裕のないプランである」「想定とは大きく異なってしまった」という場合は、開業の延期も検討を。無理に開業せず、勤務医として開業資金を増やすことに努める選択肢もあります。

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